astray


とある日曜日
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 朝の6時。
寝坊は体によくない、と、力也はいつもと同じ時間に目を覚ました。

「タバコ、タバコ・・・」

眠気覚ましに一服しようと、サイドテーブルに手を伸ばす。

「・・・ん?」

右腕の動きを邪魔する重みに、布団を捲ってみる。
 黄色い頭の外人が、長い睫毛を閉じて眠っている。
 碧だ。
碧は、このビルのカギを持っているので、気軽に力也の部屋に入って来られるのだ。

「・・・。」

さして珍しいことでも無いので、あえて放っておくことにする。
 タバコに火を点けて吸い込むと、空気が少し冷たい。
 もう冬も本場だなあ、とボンヤリ考える。

「あ、ミヨシさんからメールだ・・・」

なんとなしに開いた携帯には、深見からのメール。
どうやら、力也が寝入ってから送られてきたようだ。

『件名:やっほー('∀'●)

トランクス派?
ブリーフ派?
まさか、紐?(≧▼≦)





「うわっ、またしょーもないメール。」

定期的に送られてくる、セクハラまがいのメール。口では性もない、と言いながらも、顔がニヤけてしまう。

 「・・・幸せそうだね・・・」

「うわっ!?」

思わずタバコを落としそうになってしまった。
 薄闇の中で、奏がボーっと座っている。体育座りで。

「・・・おはよ・・・」

驚く力也に向かって、小さく手を振る。

「・・・びっくりしたぁ、何してんすか!?」

携帯を見ながらニヤける様は、さぞかし不気味だっただろう。焦って携帯をポケットに入れて、なんでもないフリをする。

「・・・お迎え・・・」

ベッドに眠る碧を指差す。
「ああ、ミドリの迎え?
てか、勝手に入ってくんのはいいんすけど、もうちょい喧しく入ってきてくれません?ビビるんで。」

「・・・」

聞いているのか判断しづらい無表情。きっと、聞こえていても、奏は改善しようとはしないだろう。

 「あー、まだ早いんで、コーヒー飲んできません?缶ですけど。」

沈黙に耐えられず、お茶に誘ってみる。

「・・・そうする・・・」

意外にもあっさり了承して、椅子に腰掛ける。
 飲み物くらいしか入っていない冷蔵庫から缶コーヒーを2つ取り出して、テーブルに置く。

 「カナデさん、寝てないんじゃないすか?」

10時までの力也と違って、奏は閉店まで店に出ている筈。2時ちょうどに眠ったとしても、睡眠時間が短かすぎる。

「・・・3時間以上眠ってらんない・・・」

「短っ!」

6時間以上はとらないと駄目な力也は、半分しか眠らない奏を不思議に思った。 けれど、少し納得した。きっと、いつもテンションが低いのは、眠いからなのだ。
 だったら、もうちょっと眠ればいいのに、と突っ込みたくなった。

 「あ、そいえばさ、なんでアイツ、ミドリって名前なんすか?」

またもや間が持ちそうにないので、疑問に思っていたことを聞いてみる。
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