astray
□オムライスの2人
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「テメェ、堂々とサボってんじゃねぇよ!自分の持ち場に戻りやがれ!!」
ホールから抜け出して、カウンターの真ん中を陣取ってうつ伏せている竜胆に、力也の怒りが爆発する。
いつもなら、ここまで怒ったりしないのだが、最近の竜胆は、以前にも増して仕事をサボり、
接客にも身が入らず無気力で、目に余る竜胆の怠慢さに、力也も怒らずにはいられなかった。
「は?どうでもいいし・・・・つか、喋るのもダルいから話かけんな。」
覇気の無い態度が余計に憎たらしく、力也は迷わずグーで竜胆の頭を殴った。
普段なら『先輩に向かって何すんだよ!?』と息巻くというのに、殴られた頭をさすって、深いため息を吐くだけ。
竜胆が投げやりになっている理由は、力也も解っていた。
親友のユウが酷い目に会い、看病をする為に桜が店を休んでいる、と教えられたから。
それでも、と力也は思う。
竜胆がここでふて腐れていても、ユウが元気になるわけではないのだから、自分のやるべきことはきっちりやるべきだ。
こんなとき、桜が居れば、もっと気のきいたフォローもできるのだろうが。
「リン!いつまで腑抜けてんのよ!?今は遊びの時間じゃないのよ!
ここは幼稚園じゃないの!そなこといちいちアタシに言わせないでちょうだい!」
「え、サクラさん・・・?」
力也が驚いて振り返ると、腕組をした千尋が立っていた。
「リキもそんなの放っておいて仕事してちょうだい!!」
「え・・・?」
普段と全く違う口調の千尋に、力也は少し戸惑った。