phantom

□プロローグ
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 和也は言った。

『この世には、無駄な物が多すぎる。
僕も、そのひとつだ。』

 俺には、そんな、空気が読めないような事を言い出した和也が、ひどくウザったく思えた。


 和也はかなり情緒不安定で、そっけないかと思えば、気まぐれに擦り寄ってきたりする奴だった。

 そうしてズルズルと3年もの間、俺たちは寄り添うように、同じ時を過ごした。


 俺は、和也のことが好きだった。



 あれから20年。
 あの頃の俺たちは、もう居ない。


 和也は、20年前の今日、死んだ。

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