キリエル
□あるお姫様の話。
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――姫、地球はどうでしたか?
「とても面白かったです。興味深いものもたくさんありました」
――ほう。それは良かった
「ええ。とても参考になりました」
――それはそうと、男性の方はどうでしたか?
「どう、とは?」
――それほどの美貌、世の男が放っておく理由は無いでしょう
「どうでしょうか。幾度か求婚はされましたが」
――やはり。それで、どうされたので?
「難題を受けてもらいました。達成できた者と婚姻を結ぶ、と」
――難題、ですか?
「ええ。今は誰も達成できていませんが」
――何故そのような真似を?
「決まっているでしょう。……私の中では、もう相手は決まっていたのですから」
――その者とは、婚姻を結ばずに?
「ええ。……『今は』ですが」
――と、言いますと?
「私が月へ戻ってから―――彼の難題は、始まりますから」