キリエル
□そんな彼と彼女
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2月13日。
明日は世間一般でいうバレンタインだ。
だから私は、普段お世話になってる御礼に、スイさんとファランさん、そしてキリさんにチョコを作ることにした。
――まぁ、キリさんのチョコには、その、別の意味も少しあったりするんですけど。
「……よし、」
呟いて、気合いを入れる。
準備が整っているかもう1度確認し、とりあえず最終確認でも異常がないことに安堵する。
そうして、やっと。
すべての準備が終わり、ようやく戦いが始まる――
「あのさぁ、」
―――と。
その一言で、活動は中断させられる。
「……なんですか?キリさん」
私は振り返り、言葉を発した人物――キリさんに問い掛ける。
すると、キリさんは困ったように問い掛けてくる。
「うん、明日の朝食の下準備するんだよね?」
「そうですよ」
半分嘘で、半分本当。
一晩チョコを冷やしておかなくてはいけないのに、翌朝の朝食の準備の時にキリさんに見つかってしまっては意味が無い。
……まぁ、厳密には意味が無いなんてことは無いんだけど。
なんとなく、秘密にしたまま渡して、キリさんを驚かせてみたい―――なんて思惑があるわけで。
とにかく、それを防ぐために私は自分から朝食の下準備を名乗り出た。
当然それもするけれど、最優先事項はこっち。
……明日の朝食を蔑ろにするのは、正直、自分でもどうかとは思うんだけど。
閑話休題。
とにかく、そういう建前にしてあるのだ。
「それは有り難いし、オレに手伝わなくてもいい、って言うのはちょっと納得いかないけど、まぁ百歩譲ってそれも構わない」
でもさ、とキリさんは言葉を紡ぐ。
「ただ立ってるだけなんだから、目隠しと耳栓は要らないよね?」
あぁ、やっぱりそのことでしたか。
ぶっちゃけ私もそう思いますが、仕方ないじゃないですか。
私はキリさんに秘密にしておきたいのに、目の前で作らないといけないんですから。
だから、キリさんにはもうしばらくそのままで我慢してもらいましょう。
「申し訳ありませんが、しばらくそのままで」
「…理由は教えてくれないんだ?」
「後で教えます」
まぁいいけどさ、とキリさんは私の我が儘を聞いてくれた。
それに感謝しつつ、私は正面に向き直る。
そして、再び。
まな板の上に佇むチョコに、包丁を降ろした――
「なぁ、ファラン」
2月14日。
今日は世間一般ではバレンタインと呼ばれる日である。
そんな日の昼下がり、昼食を済ませ、エルーが作ったというチョコレートを摘んでいたファランに、キリは話し掛ける。
「……なんだ」
「ちょっと面白い話があるんだけど」
ニヤニヤと笑いを堪えながら話しかけてくるキリの肩には、エルーの頭があった。
チョコレートを皆の前に出した後、彼女は眠ってしまった。
結論から言えば、チョコは上手く出来ていた。
恐らくキリには劣るだろうが、出来自体は悪くなかったのだ。
それに安心したのか、急に眠気に襲われた彼女がキリの肩に寄り掛かり、眠っている。
そんな時に話しかけてきたのだから、恐らくはエルーのことなのだろう、とファランは感じた。
「昨日の夜さ、エルーが朝食の下準備するって言ってただろ?」
「…あぁ」
「その時にチョコを作ってたんだけどさ、よっぽどオレに見られたくなかったのか、目隠しに耳栓までさせられたんだぜ?」
「………」
チョコレートを作る少女と、その少女の首を触っている目隠しと耳栓をした少年。
……なんて奇妙な光景なんだ。
ファランは思い出す。
いつだったか、スイが2人を「バカップル」と言っていた(当人達は否定していたが)。
その意味はよく分からなかったが……なるほど、つまりはこういう奇妙な光景を作り出すような「比較的知識の足りないカップル」を指すのか…?
そんな推測をしていたファランだったが、そこでふと、先程のキリの言葉を思いだし、疑問が浮かんだ。
「……待て。お前は目隠しをしていたと言ったな。なら…何故チョコレートを作っていたと分かった?」
「―――そこなんだよ」
素朴な疑問を口にすると、キリの口がより一層歪んだ。
どうやら、その答えこそが笑いどころというやつらしい。
「まぁ、その時しか時間は無かった、ってのも理由の1つなんだけどさ。もう1つ、エルーは重大なミスを見落としてたんだ」
「……?」
さすがに、ファランも少しばかり気になってきた。
そして言い放った答えは、しかし。
「なんてことは無い。――匂いだよ」
たったの一言だった。
「………匂い?」
ファランは、拍子抜けしながら問う。
それに対し、キリはそう、と返す。
「目と耳は塞がれたんだけどさ、鼻は塞がれてなかったんだ。なのにすぐ側でチョコなんて作ってるんだから」
すぐ分かるよなー、なんて笑いながら話すキリを見て、ファランはため息をつく。
―――それだけか。
正直に言ってしまえば、つまらなかった。たいした話でもない。
「まぁでも、」
そんな一言でファランは再びキリへ視線を戻す。
キリは寄り添って眠るエルーの紙を触りながら、言った。
「――そういうところも、可愛いんだけどさ」
今度こそ。
ファランは遠慮なく、盛大にため息をついた。
そして、確信した。
自分の推測は間違っていた。
なるほど、「バカップル」とはこういうことか――
大きくため息をついたファランを不思議そうに見ながら、ワケが分からないというような顔をするキリ。
その顔を見て、ファランはこめかみを押さえながら、天を仰いだ―――
――――――――――――
Q:これはバレンタインネタの小説ですか?
A:いいえ、ケフィアです。(爆
というわけで、書いたワケなんですが。
何 こ れ
長いし!グダグダだし!
いいところ1つも無し!あ、それはいつものことか(´・ω・`)
さて、まぁそういうわけで←どういうわけだ
バレンタインおめでとうございます?でいいのかな?←
こんなんですが一応フリーですので(爆
気が向いたら、笑いのネタにでもしてやってください…!