キリエル

□先の関係
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その時は暇だった。

特にやることも無いもんだから、オレとエルーとスイ、3人でソファでぼーっとしていたのが、だいたい10分程前。
それが今や、こんなことになっていて、なんというか状況はあまりよろしくない。


ソファに倒れているエルーの顔は真っ赤。
たぶんオレの顔も赤いだろう。

思い出すのはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべるスイの顔。
あの野郎、こうなること分かっててあんなこと言ったな。


……ちくしょう、

意識しちまうだろ、








「つーかさ、お前らってどこまでいったんだ?」




発端はこの一言。

繰り返すが、暇だった。
オレとエルーが2人揃ってソファに深く座り込み、ぼーっとして過ごしていたところに、スイが来た。
珍しく、遊びに来たわけではなかったらしい。じゃあ何しに来たんだ、って聞いたら、「なんとなく!」なんて答えになってない答えを返してきやがった。

そんなわけでスイも加わり、3人揃ってぼーっとしていて、まぁつまり現状は何も変わらなかった。
そんな状況がつまらなかったのか、スイはそんな突拍子もないことを聞いてきた。




「「………は?」」

「だから、お前らの関係はどのくらいまで進んだんだ、って聞いてんだよ」




言っている意味が分からなくて聞き返すと、同じ言葉を繰り返された。

なに?オレらの関係?つーかオレらって元々どんな関係だったっけ?
そんな疑問ばかりが頭を埋めつくす。
突拍子もない質問というのは、ここまで頭を混乱させるものだったのか。今まで知らなかった。




「なー、どうなんだ?」

「……いや、どんな関係かなんて聞かれ「ま、もう1回や2回はヤッちゃってるんだろ?」




―――なんて、
追い討ちをかけるスイの一言。




「んなっ!?」

「あ?まさかお前、まだ襲ってねぇの?」

「―――っ!当たり前だ馬鹿野郎!!」




何を言い出すんだコイツは!!
当然、そんなことをしたことは一度も無い。

……いや確かにエルーが寝言でなんかそれらしい声を出すもんだからオレの理性がギリギリ飛びそうになっちゃってすごく大変な思いをしたことは何度もあったけどってかああもうなんでオレはこんなにテンパってるんだ!


……なんてことを考えてたら、ふとエルーが気になった。
こんな風に思われてたら迷惑して――




「ってうぉ!?」

「おー、大変なことになってんなー」




エルーの顔は完熟のリンゴみたいに、それはもう真っ赤になっていた。
いや、これもう人間の出せる顔色じゃないって。




「スゲー真っ赤になってるな、おもしれぇ!」

「誰のせいだ!……おい、あんた大丈夫か?」

「…………………はひ……………」




あ、これダメだ!

そう判断して、とりあえずエルーをソファに寝かせる。
濡れタオルでもあった方がいいな、と思ったがエルーが寝ている以上はオレも動けない。
そこでスイに頼もうと振り向くと、




「ちょっと待て、なんで帰ろうとしてんだ!」

「なんでって、邪魔になるから」

「邪魔って何の……」

「あ?今からヤるんじゃねぇの?」

「んなワケあるかぁぁぁ!!」

「いや、てっきりその気になったのかと」

「いいから早くタオル濡らしてこい!」




分かったよそんなに怒鳴るなよー、なんてニヤニヤ笑いながら洗面所に消えていくスイ。あとに残されたのは赤い顔をして倒れているエルーと、自分。




「――――くそ、」




今夜から、理性を保つのがより一層きつくなりそうだ。


………でも、
君が「いい」と言うのなら、


(オレだったらいつでも―――)













――――――――――――キリは夜になるたびに理性がギリギリになっていればいい。
そしてなんだかんだエルーもギリギリになっていればいい。(^^)

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