小説
□体育館倉庫にて
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つまり、だ。状況を説明すると、あの後、気を失った俺たちは見回りの先生に気づかれることもなく、体育館倉庫の鍵をかけられてしまった。と言うわけだ。
「…ま、しょうがねぇな。朝までここにいるしかねぇってことだ。サバイバルか何かだと思えば、楽しいのな!」
にかーっ、と笑う山本。
こういうときに、山本のポジティブ思考は頼りになる。
俺たちは、柔らかいマットを捜し当てて、そこに座って朝を待つことにした。
ちょうど、みんな何かしら食料を持っていて、ちょっとしたお泊まり会みたいな雰囲気になった。
「ぁふ…。」
携帯の時計を見れば、日付が変わっていた。
気を紛らわすためにいつも以上にしゃべっていたら、眠くなってしまった。
「眠いなら寝ていいぜ?ツナ。」
「10代目が熟睡できるよう、しっかり見張っておきますから!」
俺の様子を見かねた二人が、そう言ってくれた。獄寺君に何を見張るんだ?と思いながら、甘えて、俺は意識を手放した。
あれ、?
何時だろう?と、まだ、夢と現実の区別も付かない意識で、携帯を確認しようとした。
けど、身動きがとれなかった。しかも、なんだか寒い。
そこで俺の意識は覚醒した。
俺、何も来てない上に手足が縛られてる。
しかも、目を隠されてる。
(な、何これ…や、やまもと!?ごくでら、くん?!)
先ほどまで隣にいた二人を暗闇のなか、捜し当てようとした。
「あ、ツナ起きたのな。」
その探していた声は、意外と近くにいた。
ほっ、としたのもつかの間。
背中になま暖かい感触が。
「、ひぁ!!」
びっくりして、おかしな声をあげてしまった。
すると、くすくすと笑い声が後ろから聞こえた。
「10代目、そんなに驚かないで下さい。」
「……え、獄寺、くん…?」
「はい?」
ずいぶんと落ち着いた声だが、確かに彼もすぐ後ろにいる。
「あ、のさ?これ、何かの冗談?だよね?」
おそるおそる聞いてみた。
すると、目隠ししていてもわかった。空気が一気に張りつめたのが。
「んー…残念ながら冗談じゃないんだなぁー…」
ちゅ、となんかわからないけど水分音が全身に響く。
「すみません、10代目。でも、優しくするんで安心して下さい。」
「絶対に気持ちよくしてやるかんな、」
その二人の台詞を聞いて俺の目の前は真っ白になった。