小説2
□本命チョコ
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女の子達から貰ったチョコを見ては溜め息が漏れる。
正直言えば毎年毎年こんなにチョコはいらない。
それに本命からのチョコ以外貰っても嬉しくない。
(まぁ、くれるわけないか)
本日何度目かの溜め息をつけば後ろから背中を強く叩かれて振り返れば笠松がいた。
「痛いじゃないっスかー」
「やっぱりいっぱい貰ってるんだな」
「でも本命からはまだ貰ってないんスよ?」
溜め息混じりに言えばぴくりと肩が揺れる。
現に恋人の関係にいる俺達には本命が誰かなんて言わなくても分ってる。
「で、くれるんスか?」
「んなもんねーよっ!!」
「えーっ!!酷いっスよ!!」
「それ以上いらねーだろ!!」
「好きでもない女の子達からよりも先輩からのチョコの方が嬉しいっスよ」
照れているのか顔を真っ赤にした先輩に蹴られたあと顔に何かを投げ付けられる。
「お前なんかそれで十分だ」
チ□ルチョコを投げ付けて、走り去ろうとする先輩の腕を掴んで引き寄せる。
「離せ、ここは…っ!!」
授業後の誰もいない廊下とはいえここは学校だという事は理解してるが可愛いこの先輩に口付けを一つ。
「十分っスよ」
(でもやっぱり足りないんで夜に…あだっ!!)