雑記

□邂逅
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死屍累々。

桂がそんなような言葉でこの光景を表していたのはいつだったか。

俺はまだ、ここで戦い続けるのか。
いや。
敵は…どこだ?

見渡す限り、命ある者は自分以外いないようだった。

ならば、戦いは終わったのか。
終わったのだとしたら、なぜこんなにも疲れているのだ。
なぜ、何一つ持っていないのだ。

何もかも失って、なぜ俺はここにいる?

「…っ」

ぞわり。

背を恐ろしい何かが走り抜ける。

俺は。俺は。俺は――!


「よぅ銀時。お前いつからガキまでタラシ込むようになったんだ?」

「誰がんな事するか!!」


反射的に怒鳴り返す。

ガキとは誰だ。
そう思う一方で、当然のように二人の少年少女が頭に浮かぶ。

そうだ。アイツら、こんな戦いの中で今頃どうしているんだ。
いや、この戦いにアイツラがいるのはおかしい。
いや、おかしくない?
そもそも俺は今、何をしてた?
俺は一体、いつを生きている人間だ――


「いやいや、タラシだろ。すっかり懐かれてまぁ、お前みたいなチャランポランの何が良いんだかな?」

「うるせぇよ」


またもや聞こえてきた失礼な言葉に、再び怒鳴り返す。

そういや、この声の持ち主は誰だったのだろうか。


「ひでぇな。昔の仲間を忘れたか」

「忘れてはいねぇ」


ようやく声のする方角が分かって、その姿を見るべく目を細める。

逆光の中で、奴は記憶通りの腹が立つ笑みを向けてきていた。


「お前…」

「早く帰ってやれよ。こんなところで止まってねぇで」


分かってる。
声に出したつもりが、それは喉から先には出ていかなくて。
奴はそれが分かっているのかいないのか、よくわからない様子で手を振った。


「じゃあな銀時。俺はいつでもお前を見守ってるぞ。なーんてな〜」


馬鹿か。気持ち悪いからやめろ。

そう言いたいのだが、奴の姿はどんどん光に飲まれていく。
ハハハ、という奴の笑いが最後まで耳に残る。

その笑いに混じって、犬の鳴き声が聞こえる。
子どもたちの騒ぐ声が聞こえる。

戻ってきた。

妙な安心と寂寥に包まれて、一瞬、目を開けるのを躊躇う。


『ほら、何やってる』


聞こえるはずのない友の声に、うるせえよ、とまた呟く。


「あ、銀ちゃん動いた!」

「銀さん!! 分かりますか!?」

「わん」


本当にうるさいレベルの騒ぎようで、頭の中からかつての友の記憶があっさり吹き飛んでいく。


「あー!! うるせぇっつーの!!」


どうやらここは病院らしい。
新八が医者を呼びに出ていく。神楽はこちらに飛びかかりたがる定春に気づかず首に抱きついている。

窓の外には雪景色が広がっていて、もうずいぶんと積もっていた。


「銀ちゃん、寝てる時にやけてたヨ。良い夢見れた?」

「……ああ、まぁな」


たまにはお前に会うのも悪くはねぇか。

なあ、――。






20120122

…っていう夢を見たんです。
昔、銀さんが主人公なら元ネタ繋がりで頼光四天王が登場してきても良いんじゃないかとちょっ思ったことがあります。それで見たの?どんだけだ私の脳みそ。
最後に呼ぶのは同じ四天王の一人の名前だったらいいな。

土蜘蛛とか御伽草子はわりと好きです。

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