treasure
□鳥とマグロと南国果実と
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昼休み。ピンポンパンポン…と放送の音が鳴った。
『沢田綱吉』
と、まだそこまで低くない、けれど昼休みの喧騒を静めるだけの力がある声が、スピーカーから聞こえた。
『応接室においで』
来て、でも来い、でもなく、おいで。
もう珍しくも何とも無くなってしまった呼び出しに呼ばれた本人は、「次の時間休むね」と、山本と獄寺に言って教室を出て行った。
一回、二回、とノックする。ノックしてからドアを開けた。
ノックしないで開けると、トンファーが襲ってくる。
何時もなら、開けた瞬間に紅茶のいい香がするのだが、何故か今日はなかった。
それもそのはず。綱吉はドアを開けて固まっていた。
「さっさと逝け」
「クフフン。漢字間違ってますよ。鳥」
「合ってるよ。パイナップル」
「……廻らせてさしあげましょう」
まさに一触即発。
開けた先で、雲雀と骸が対峙していた。
その手にはトンファーと三叉槍。
綱吉は慌てて間に入った。
入って来た綱吉に、二人は手を止め、武器をしまうと、一時休戦ね、と言ってソファーに座った。
「はい」
綱吉の前だけに紅茶を置き、自分も飲む。
「僕の分は?雲雀」
「君は外の水道水で十分でしょ」
がちゃん、と音がして横を見れば、雲雀と骸がそれぞれの武器を持って戦闘体制に入っていた。
綱吉は一つため息を吐くと、ソファーの隅に移動し、紅茶に口を付けた。
別に、自分や部屋に被害がなければ死闘でも、世界大戦でもなんでもやってくれ、という心境だ。
ふー、とため息か、ただ紅茶を冷ましだけなのか、綱吉はゆっくりと息を吐き出した。