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□もうお嫁にいけない!
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ズドン。

宇宙から隕石に擬態して降り降りたソレは即座に形を成していった。あっという間に巨大な金属の、生命体となる。
キョロキョロと辺りを注意深く警戒すると、彼は注意深く、足を進めた―――つもりだった。


「痛ぁぁぁぁー!」
「ホアァ!?」


ばっと片足を反射で持ち上げる。不意すぎる。いないと思って足を出せばその足元から悲鳴が上がったのだ。
下を覗けばうずくまっている小さな塊、じゃない。オプティマスの背中をばちばちと回路の電流が走る。ひとだ。お嫁にいけない。だとか、ひどすぎる。だとか、言っているではないか。もしや怪我をしたと訴えているのでは。

オプティマスは即座にそれらの意味を調べようと、まず言語を特定し、インプットしてから、

絶句した。

先程よりもひどい電流が走る。回路が焼ききれてしまいそうだ。頭が痛い。
お嫁にいけないとはつまり、そういうことなのだろうか。オプティマスは頭を抱えた。だが、だがそれでも、自分と彼女は種族が違うではないか。すると寿命も違うだろう。
だが、それでも、
しかし、
そうも言ってられない。

これからこの惑星で友好な関係を原生生命体と歩んでいくと心に決めてある。
その第一歩で不和を生じさせていい筈がない。たった1人と親交を深められないで、何が異星間交流といえようか。
惑星規模にまで思考を広げてしまったオプティマスに、腹を括る事は容易いことである。

オプティマスはなるべくそっと、優しく、足元の人間―――女性個体を手のひらに乗せて、持ち上げた。



「すまない。私でよければ、責任を取らせてはくれないだろうか。このスパークに懸けて君を…幸せにすると誓おう」




自身の目線と同じくらいの位置で、調べあげたばかりの宣誓を行う。
間違ってはないか、少し形式が気にはなるがオプティマスはカメラアイを手のひらの女性に向けた。
後はyesの返事があれば完了である。促すように青く発光する瞳がカシャンと瞬いた。
さあ、言ってくれ、と。

相手が緊張してしまわないよう、それを解すようにフェイスパーツを
地球式に近い"微笑み"に形つくる。
控えめながらも返事を待つオプティマスだが、相手の反応は予想から大きく外れたものであった。


「……………………はうっ…………………………………」


ぐたりと手のひらに倒れる、彼女。

オプティマスは手のひらを襲った小さな衝撃に、大いに焦った。

「っしっかりするんだ!」


両手で抱え込むようにして様子を伺う。
蒼白な顔色である。あいにくとメディカルに使えるような繊細なセンサーは持っていない。顔色だけで、あとは全くわからなかった。

もしや重症なのでは。

生死の文字がオプティマスに浮上する。



「耐えてくれ…直ぐにラチェットに診させよう…!」



オプティマスはがしょんがしょんと変形しながら、彼女を車内に乗り上げさせる。
宣誓の返事はそのあとに貰わねば、とも思いながら。






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