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□ギレデレ系シュバルゴ
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瞬殺だった。
文字通り。
ドサリと相手のポケモンが倒れる。
息も絶え絶えに地にひれ伏すポケモンは、体力切れからの瀕死、というよりは、本当に死の際に立っている。
ひくりと、両者の顔がひきつる。

「しゅ、シュバルゴ。戻っておいで」

放っておけば更に追い討ちでもしかけない。ぎらぎらと殺気立つシュバルゴにナマエは声をかけた。
にっこり。
声をかけられたシュバルゴは、にっこりと、それまでの形相を抑えてナマエの声かけに応える。それはもうにこやかに、だ。
擦り寄ってくるシュバルゴを半ば、隠すように背中に回す。


「……すみませんでした」
「い、いや」


勝負を仕掛けてきたエリートトレーナーに謝罪をする。
本当は彼にバトルを申し込まれ、話していた時に予想していたのだ。シュバルゴの様子からして。

だがトレーナーは引き攣った顔で笑うとそそくさと逃げ、――去っていった。
あっ、と思って手を伸ばす。
遠ざかりゆくその背に、残念ながら届くことはなく、ナマエは力なく手を下ろした。


「エリートなら助けろよおおおお、助けてくださいいいいい
ポケモンの扱いに長けてっからエリートなんだろ、なあおいそうだろうが
おい逃げんなやああああああああたし置いて逃げんなやああああ!」



心の、心の底のまだ奥底から叫ぶ。既に遠いその背に、届く前に、背後からぎゅうぎゅうと締め上げられる。
あぁぁぁぁ…、 。と最終的に息すら搾り取られるのだから、届くはずもない。
諦め悪くナマエは口から空気を吐き出し続けた。
顔が真っ赤になるほど。
同じくらい。
締め上げられる。

それでもめげずにナマエは叫んだ。もがいた。それはもう必死で。
それがダメだった。
締め付けが緩くなる。ナマエも気を緩めた瞬間に、顔の横に、槍の腕。



「ええええええ」



その差、髪の毛一本。
あと一本。
あと一本分だけ近ければ完璧に穴が空いていた。ナマエは顔を青くして、犯人を見る。

目が合えば、ちょっぴりキツい目を開いて、次に嬉しそうに細めるのだから、可愛い。
じゃない。
首を横に振って否定する。大した顔でもない。ないが穴が空いたらそりゃ悲惨なものだ。


「シュバルゴ、危ないから。危ないからシュバルゴ。顔に穴が空くから。
ただでさえダデマミから婚期どうのとか言われてるのに、お嫁に余計行けなくなるの。
だからシュバルゴ手ぇどけ、」



てくれないの、
わあなんて嬉しそうな顔。

嬉々として腕を振り上げ、シュバルゴは照準を合わせた。狙う先はナマエの顔である。






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