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□レイニーデイとヒトカゲ
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けほけほと咳き込む喉。バイ菌を招いた肺はひいひいと悲鳴をあげている。
両親は今日1日、外出禁止令を出してしまった。

窓を叩きつける雨が自業自得と罵る。
天気に構わず、飛び出た結果がこれだ。たちまち風邪っぴき。遊びもなにもあったものではない。

けれど後悔もなにもない。辛いけれど、それ以上に嬉しい。
むずむずと動く口を止められやしない。なんと言っても、パートナーを見つけたのだ。


「早くよくなろうね!」


掠れた声が喉を引っ掻く。
咳き込むのを堪えて、ベッドの足元を見る。

オレンジ味の強い体色に、燃え上がる尻尾の先っちょ。雨のなかを進めば、雨のなか蹲るヒトカゲと出会った。
彼はすやすやと眠っている。用意した寝床も抜け出して、寒いだろうに、気づけばすぐ傍で眠っている。高めの体温がじわじわとシーツごしに体を温める。



「どっちが早く治すか、競争だね」



じわじわと幸せを噛み締める。
きっとこのヒトカゲは最高のパートナーになる。確信以上に、期待がある。風邪よりも胸がどくどくして仕様がない。

起き上がって頭を撫でれば、クゥ、と可愛いイビキがひとつ。







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