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□ポケレン/セブンと同期と毎日と
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「ホモなんじゃね?」
「えっ」
「な!?」


オペレーション室で騒ぐ後輩二人に言えば、ピタリと会話がやむ。これくらいの事で静かになるならもっと早く試すべきだった。どちらがセブンの本命かという、いつもの話題だ。
どうだ静かになったろうと、もう一人、後輩に目で言えばとても非難めいた視線を貰った。なんだよお前が助けを求めてきたんだろ。黙った後輩たちを放っといて私はモニターに集中するのだが、いかんせん視線が痛い。


「大体なあ…、ボイスメールとかでもし、全員に送られたりしたら、恥ずかしいよ」
「でもナマエ先輩ったら。ワンダさんがムキになるから…」
「な!リズミが言い出したんじゃない!」
「………」


ヒートアップしだした会話に、板挟みの後輩の視線。それで口を開いてしまうのだから、どうも私は押しに弱いらしい。

「優しくしてくれるって言い合ってるけど、そこからして不思議じゃん。
女に優しい割には…恋人とか噂すらないし、そうするともう…ホモなんじゃねえの?」



ああー、と。声が上がる。納得してくれて何より。
さあ仕事に戻ろうか。そうしてモニターに向き直った所で後輩がこれまた盛大に声をあげた。


「あ!?ナマエさん、後ろっ、後ろぉー!」
「え?………………………………
………あ」



噂の本人。

やばい聞かれたか。日に焼けた肌と対照的に白い歯が眩しい。
セブンはにっかりと笑って、手を挙げた。


「よっ」
「よ……、よっ」
「俺のホモかどうかが気になってるみたいだが、もし気になるなら、試してみるか?なあナマエ」
「いや、いい。うん……大丈夫。セブンはセブンだから、ね?ほら、大丈夫」
「たしかに俺は俺だろう。だからお前に、ありのままの俺を知ってほしくてな」



がっしりと捕まれた肩に、太くてしっかりした指が笑顔と反比例した力加減で食い込む。セブンがその手を引っ張れば、ろくな抵抗できずに椅子から引き剥がされた。

そのままずるずると引きずられるのだが、

「どっちだったか教えてくださいね!」
「私、きっとノーマルだって信じてますから!」

とまあ、声をあげる彼女らに問いたい。色ぼけも大概にしておけと。

君らが優しいと惚れ込む男は今、優しさから遠く離れたことを実行しようとしているのだから。






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