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□進化にテンパりまくるトレーナーをオーダイルが楽しむ
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「え。ど、どちらさまですか」
「ざけんな俺だろ」



ニヤリ。
冷酷残酷不遜で不敵。そんな感じに、ニヒルに笑う目の前の男がますます信じられなくなりナマエはもう一度同じセリフを呟いた。どちらさまで。
男もまた同じように応えた。俺だ。オーダイル。
変わらず片端だけ歪めた笑みで、やけにサマになっている。



「うっっっ…そだぁー!」
「何がだよ」



目を丸くして声をあげたナマエにオーダイルは茶々を入れる。笑いを含んだその声は、たしかにナマエにとって聞き慣れたしかも今の今まで側にいたアリゲイツのが、そのまま低くなったものであった。
ナマエは2度3度、まばたきをしてもう一度、オーダイルを見据えた。まだ信じられない気持ちで眺めると、ニヤリと笑ってオーダイルが距離を詰めてくるので、距離を取った。ほとんど咄嗟で。
開いた距離にオーダイルは顔を歪めてまた距離を詰めた。しかし後ずさった。しかし詰める。後ずさる。



「何なんだ、おい」



一向に縮まらない、その距離が。不愉快だ。ぐっ、と眉間に皺が寄る。
寄る、が堂々巡りすぎるので近寄るのを止め、距離をとってやる。開いた距離にあからさまにナマエが安心するのでオーダイルはそこでもムッとなった。
ナマエはナマエでムリムリムリ!だのと何やら「無理」を連呼していた。


「おいアリゲイツん時あんだけ進化進化言っといて無理って何だ」
「む、むり!」
「アア?」
「渋メンに…耐性ないからっ!もっ、これ以上は………無理!」


渋メンってなんだ。と聞くと、まあ、距離を取りつつではあるが、渋いイケメンの事です。と返事が来る。

オーダイルはそのセリフで何となくであるが、とりあえず理解はした。
アリゲイツの時の俺はよくてオーダイルになった俺はだめだと。なるほど意味分からん。全部俺だ。
とりあえず理解はできた。が、納得の方はさっぱりもっての他である。

まだ無理と言い募るナマエに、言い返そうと口を開く。しかしすぐに閉じる。
そして少し考えるように顎に手をあて、オーダイルは言った。


「それはあれか、
俺が進化したらお前好みになったのか」
「…!…!!や、ちが!」
「へえ、じゃあ近いのも、くっつくのもいいだろ」
「すんません嘘つきましたから、これ以上はあああ」



ナマエが顔を真っ赤にして腕をぶんぶんと振りかぶる。やけくそに暴れる腕を受けとめてオーダイルは距離を詰めた。途端にぎゃあ、と悲鳴があがってナマエの顔が真っ赤になり目一杯仰け反った。
なるほど納得。
ニヤリ笑ってオーダイルはまた距離を詰めた。









 

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