「最近は暑すぎるよね」


はぁとため息をついて寝転ぶ、女。


「邪魔だ」


「ここ、私の部屋なんだけど」


彼女の長い黒髪が床に散るように投げ出されていて。


思わずそれを引っ張りたい衝動にかられた…兄、サスケ。


「また構って欲しい病ですか?サスケお兄ちゃん」


クスクスと、サスケの下にいる…彼の妹が微笑んだ。


サスケは殆ど同じ顔の妹の顔を覗き込むように、彼女の上からゆっくりと近付くと…


自らの指にその髪を絡ませる。


─ブォォ…


近くにある扇風機の風が2人を熱風地獄へ巻き込むと、妹はへばった声で体を横に傾けサスケから離れた。


「逃げるな」


「暑いから今は無理」


「俺は無理じゃない」


首筋に手を掛けると、顔を近付けるサスケを勢い良く殴り飛ばし。


だるそうな体を上げて台所に向かう彼女は…周りから見たら絶対妹には見えないだろう。


「プリン〜」


ひんやりと冷たいプリンを冷蔵庫から取り、振り返るとサスケがいて。


「復活早っ!」


「俺にも食わせろ」


「プリンだよ?」


「全部でなくていい」


ああ、そうか。そうゆう事かと呆れながらサスケを見る妹の視線に本人も気付いている。


「……///何だよ」


「わかりやすいよね。サスケって」


「!///別に関節キスしたいとか言ってない!!」


「おもいっきり言ってるし!!///」


バカっともう一度殴り飛ばすと転がるサスケを尻目にプリンの蓋を開ける。


サスケは、仕方なく飲み物を出そうと冷蔵庫を開けようとするが…勢い良く。


妹に、今度は手を掴まれ…その様子にニヤリと笑った。


「口移しする気になったか」


「いやいやいや。違うから。…冷蔵庫開けちゃダメ」


「は?」


しばらく2人で冷蔵庫を開けるか閉めるかで意味不明な格闘していたが、ようやく妹が折れた。


「わかった!わかったよ。しょうがないなー…。はい、これ」


「プリン?」


2人でギャーギャー騒いだ後、肩を落とすと妹はまだ手をつけていない自分のプリンをサスケにあげると差し出す。


だが。


「お前からのしか食わない」


「私からのって…まさか口移し…」


「当たり前だろ」


「もう一度寝たいんだ?」


ニッコリ!


「…何でもないです」


テーブルに着き、スプーンでプリンを掬うが、甘い物は基本好きでは無いサスケは食べるのを躊躇する。



だけど、昔から妹に食べさせて貰う甘い物は特別で。



微笑んだ妹の嬉しそうな顔につられて食べてしまう。




それが今はただ、自分で食べる事を促されるだけ。




いつまでもスプーンがサスケの口へ運ばれないのを見る妹は。




「サスケが自分で食べたらご褒美あげるね///」




こんな風に頬を赤くして言うものだから、食べない訳にはいかない。



─パク



「美味しい?」


「……甘い///」



妹に見つめられると平静でいられない。


そんな自分とさほど違わない容貌の黒い瞳の中に、真っ赤になってプリンを食べる自分がいて。


サスケは慌てて視線を逸らした。


空になるプリンの容器を確認すると、妹は冷蔵庫の奥から白い箱を取り出す。


「はい、サスケ。1日早いけど誕生日プレゼント!」


「……あ」


毎年贈られるのはその日だったが、今日は1日早い7月22日。


「今年はもう隠せないと思うから今日渡すね」


中身はアイスケーキ。


こうゆう時、同じ家だと保管場所に困る。


「また甘い物かよ…」


「いらないならいいよ?」


「…いる」


箱を引っ込ませる妹の手から、バッと奪い取るようにして抱えるサスケ。


妹にクスクスと笑われ、不覚ながらも頬を染めてしまうのは…変える事が出来ないようだ。



「暑い夏には冷たい物がいいから」



箱を開ける兄に話し掛ける妹。
サスケがそれを食べるのを待っている。



「冷たい…」



口に広がる冷たさ。



それを妹にも分けたくて。



半身の彼女にも分けたくて。



─グイ



「っ…ん…!?」



それが伝わると、サスケと同様に頬を赤くする妹は…さっきの勢いはどこへやら。



離れたサスケの温もりを確かめるように。



自らの指で唇をなぞった…





「このケーキ…。
アイスケーキなのに…熱いね///」





「…そ…だな…///」










暑い?熱い?










(明日はまた別のよこせ)


(はい?)


(明日が俺の誕生日だろ?)


(!!キャー///どこ触ってんの!?)




end.


自サイトの
サスケ×夢主。
駄文すみません;
サスケ誕生日おめでとう!!

河井 麗奈

うちは兄弟生誕祭[幻雷]

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