毎年この時期になると、日々百面相なる妹の顔。
その顔が面白くて、今日もくすりとイタチは我が妹を眺める。
「あ〜…もう。どうしよう〜!!!」
最近妹はサソリの傀儡のメンテナンスを手伝っているらしく。
ガチャガチャと手元の傀儡を壊しそうな勢いで、何かを思い悩んでいるようだ。
「おい!ガキ…俺の傀儡壊したらただじゃおかねぇぞ!!」
「はいいっ!す、すみません。サソリさん」
小さいサソリの隣りに居る、更に小さい黒髪の少女はイタチの妹。
暁に入隊してから、妹はサソリに懐いているようで。
サソリのサポートも大分慣れて来たが、最近はどこか思いが移ろい気味だった。
妹は何かを思い付いたようにサソリに詰め寄り、次の瞬間耳に顔を寄せていく。
「おい」
イタチはそれを見逃す訳が無く。
伸ばした腕の中にすっぽりと妹を包んでサソリを睨みつけるが、負けじとサソリも睨み返す。
「このシスコン野郎」
「この自称父親気取りが」
「ああ゛!?やんのかコラ」
「お兄ちゃん…苦しい〜」
腕の力を緩んだ隙に、ぷはっと頭を出して妹はイタチから離れた。
「ダメ!今はサソリさんとお話してるの!」
「!!…何の話だ?」
「ぷくく…イタチ避けられてるな。いい気味だ…うん」
妹に避けられ、ショックの顔を隠しきれないイタチに…追い討ちをかけるようにデイダラが現れる。
「あ、デイも協力して〜」
「お前の頼みなら何でも聞くぞ、うん♪」
「待て待て待て」
三人で仲良くその場を出て行こうとする姿に焦るシスコンイタチ。
妹が何に悩んでいたのか何となく検討はついていた。
…しかし…
それをわざわざサソリとデイダラに言うと厄介な事になりかねない。
「お兄ちゃん、ごめんね」
「待て、早まるな」
「あのー…」
「そいつらに相談するな…!お前には俺が居るだろう」
「でも」
「そして俺にはお前が居る。それでいいだろう!」
「イタチさん、お話中悪いんですが任務ですよ」
「うるさい!鮫!!」
ボルテージの上がったイタチは鬼鮫を怒鳴りつける。
ショックを受ける鬼鮫だが、リーダーの指示ですと半ば強制的にイタチと妹との距離を離した。
あ、と思い出したように妹は手を叩く。
「岩隠れの里に行くんだよね。あ、あそこの茶屋のわらび餅美味しかったなぁ…///」
─ピク
「勿論買って来てやる」
「本当!?わぁ〜い!」
…………………
………あああ!!!
しまったとイタチは思うが時既に遅し。
結局鬼鮫と任務の間、しぶしぶサソリとデイダラに妹を預けるイタチだった。
★☆★
─数日後
任務から帰って来た後、イタチの目に飛び込んで来た妹の姿に……一瞬言葉を失う。
名前を、呼ぶ。
確かに妹はそこに居た。
そう。
純白のドレスを来て
其処に居た──
「お兄ちゃん」
「…な…」
言葉にしようとも、出来ない。
小さな花嫁は、にっこりとイタチに微笑んだ。
「今日お誕生日でしょ?」
「あ…」
6月9日はイタチの誕生日だった。
「毎年お兄ちゃんにどんなプレゼントがいいかな〜って考えて考えてね。
サソリさんとデイに相談したの」
高く結い上げられた長い髪。
ドレスには淡い桃色の宝石飾りラインが入っている。
「二人が作ってくれてね、これ見せたら喜ぶって。どう…かな///」
はにかむような笑顔。
それはイタチの心を捕らえるには十分だった。
「わぁっ///」
「最高のプレゼントだ」
「は、恥ずかしいよ…///」
「誰も見ていない」
イタチは花嫁を抱き上げ、頬に口付ける。
腕の中の花嫁を愛おしそうに抱きしめた。
「残念ながら、見てるぞ…うん」
「誰がそいつの服を作ってやったと思ってる」
デイダラとサソリが不満気な顔で二人を見やる。
イタチはニヤリと微笑むと花嫁を抱えたまま二人を見下ろすように眺めた。
「今日は感謝してやる」
「…フン。言っておくが、こいつは嫁にやらねぇぞ。特にイタチ。お前にはな」
「じゃあオイラはいいんだな!」
「何勘違いしてんだ、てめェもだ!デイダラ!!」
口喧嘩をし出す三人を見た小さな花嫁が声を出して笑い出す。
「喜んでくれた?」
6月のイタチの誕生日に訪れる…幸せ。
6月の花嫁に訪れる…幸せ。
「ああ。喜び2倍だ」
June bride
(兄妹は結婚出来ねェからな)
(ええっ)
(自称父親ともな)
(オイラは出来る!うん)
((誰がお前にやるか))
end.
自サイトの
イタチ×夢主です。
駄文すみません;
兄さん誕生日おめでとう!!!
河井麗奈
うちは兄弟生誕祭[幻雷]