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□七夕
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空を見上げていたあたしは、景吾へと顔を向けた。
「ダメ?」
ようやく顔を上げた彼は、すぅっと目を細める。
「…勝ち負けってのは、願うもんじゃねぇ。掴み取るもんだ」
…なるほど。
「じゃあ、どうしよ」
考える私を見て、景吾はふん、と笑う。
「お前の願いはすべて俺様が叶えてやる。それでいて、お前は何かを望むってぇのか?」
なにやら、挑戦的だ。いや…嬉しそう?
「景吾の幸せ」
「それはもうある」
う…ん。
「じゃあ…あたしの健康」
「ふん、上出来だな…色気はないが」
彼は満足そうに口の端を上げる。
「うるさいな。それから、すっごい綺麗になってやるんだから」
威張って言うあたしに、まあやってみな、と意地悪そうに景吾が言う。
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