clapping monkey
□彼女の心遣い
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「ふぅ…いいお湯でした♪」
風呂から上がり、妖怪を(犬夜叉が)退治したお礼に借りた部屋に戻った彼女は、相変わらず部屋の隅に座った赤い服の彼に声をかけた。
「犬夜叉もお風呂もらってきなよ♪」
それに目線を向けると、犬夜叉はふうと息を吐いて言った。
「…俺ぁいい」
「どうして?…気持ち良かったから入ってきなよ」
そう言って彼女はやけに上機嫌で犬夜叉の背中を押した。久しぶりに野宿ではないのが嬉しいらしい。
「…ったく‥」
犬夜叉は仕方なしに風呂へと向かった。
**
敷いてもらった布団の上に座り、柳に借りた本を読んでいると、彼女は目がうとうととしだして早く眠りにつきたいと言う自分の瞼を擦った。
ふと、隣りに敷いてあるもう一組の布団を見つめた。
いつも布団があっても、彼はそこには寝ない。部屋の隅で座り込んで眠るのだ。
なんだかその布団が、少し寂しそうに見えた。
**
犬夜叉が部屋に戻ると、痺れをきって待てなかったように彼女がすやすやと眠りについていた。
ふと自分の寝床である、部屋の隅に目をやった。
部屋の角に、ぴったりと布団が不自然に寄せられていた。
犬夜叉は小さく笑みを漏らすと、幸せそうに眠る彼女の寝顔を、穏やかな瞳で見つめた。
それは優しい彼女の、小さな心遣い。
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