clapping monkey
□生まれた日
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チチチ…という鳥たちの挨拶はいつもと一緒。
眩しく降り注ぐ太陽も、いつもと一緒。
ただ一つ違うのは、私が時の換算で、一つ大きくなったということ。
ただ単に昨日から今日へと日付が変わって、それがたまたま『生まれた日』に時が降り立っただけなのに。
なのに“誕生日”というものは、何かが違うような、どこかふわふわした変な気持ちになるんだ。
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さんさんと太陽の光が注ぎ、瞼が視界の上下を行ったり来たりする。
ここは昼寝には最適かなと、両手を大きく伸ばした時だった。
「……ん。」
カサリと音がなって、目の前に白い花が差し出された。
「…これ……?」
花から目を上に移せば、そっぽを向いた銀色の髪。
風が静かに、赤い袖を揺らす。
「……やる」
相変わらず顔はこちらを向かずに、花がずいっと近付いた。
不器用に、茎がバラバラの長さだった。
それでも彼なりに考えてくれたのだと思う。
…前に“白い花が好き”と呟いたことがあったから。
「犬夜叉。…ありがとう」
心に暖かさが浸透する。
一年に一度くらい、“特別”を感じてもいいと思った。
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