clapping monkey

□いつもの朝
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思っていたよりも冬は早く来ていたらしい。

いつもより布団が恋しくて、一度出した顔を再び埋めた。

いつもの朝のにおいがする。その柔らかな味噌のにおいに誘われて、彼女は布団からゆっくりと離れた。





台所ではコトコトという鍋の音と、規則正しく包丁がまな板に当たる音が響いていた。




「おはようございます」



その声に柳はゆっくりと振り向き笑顔でおはようと返すと、味見用の小皿を差し出した。

一口飲むと、改めて柳は料理が上手だと思う。




「そろそろ出来るから、犬夜叉殿と冥加殿を呼んで来てくれるかの」



それに笑顔ではいと答えると、彼女は寝癖で少し乱れた髪を軽くすいた。





**




外に出ると、しん‥と澄んで冷えた空気が肌に心地よく感じた。




「…おはよう」




家の前の大きな木の根元に座った犬夜叉に、笑顔で声をかける。


それに目線だけで答えると、彼は何も言わずに立ち上がった。

そんな素っ気ない態度もいつも通りだな、と彼女は小さく笑みをもらす。





「あれ…犬夜叉、手…」




ふと、冷えて赤くなった彼の手に気がついた。特に指先が、痛そうに赤く染まっている。


す‥と彼女はその自分より一回り大きな手に触れた。

さっきまで布団の中で暖まっていた自分の手より、はるかに冷たい。

彼女は両手でそれを包むと、優しく握った。

手からじんわりとぬくもりが伝わってきて、犬夜叉は少し照れたように目の行き場を探した。





「…手が冷たい人ってね、心があったかいんだって」





なぜか嬉しそうに笑いながら呟いた彼女を見ると、握られた手と同じようにじんわりと心が暖まっていくのに気がついた。





いつもの光景

いつもの朝。





少し寒い今朝は、手からぬくもりが伝われば、丁度いい。















《後書き》

やー//梅の初短編!!
…お恥ずかしい///(笑)





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