clap小説
□転入生零くん
2ページ/5ページ
「錐生くーん、こっちこっちー」
「はぁ、一条さんですか…」
「僕の隣ね、あ、統計学の本持ってる?」
「いえ」
「次の授業はこれ必需品だから、買っておいた方がいいよ。枢から聞かなかった?」
「いえ」
「まーったく枢ったら」
「あいつが俺に親切する訳ないですよ」
「うーん、そうかなぁ?でも枢のこともだけど、ナイトクラスの子が言うこととか、あんま気にしちゃだめだよ?」
「大丈夫です。眼中にないんで」
「さすが錐生くん。なんか野性児って感じ」
「野性児?」
「なんていうか、ちょっとたくましいよね。うん、枢に負けずに頑張ってね!僕も応援してるからっ」
「頑張るって何を…ぼそぼそ」
「まぁ、枢もある意味、野性児って感じだけど」
「…」
「何そんなポカンとしちゃって、やだなぁ、錐生くんもそう思わない?」
「思います。けど」
「けど?」
「さっき俺のことも野性児って言いましたよね?」
「うんそうだよ。なーんか二人って、同じ匂いがするんだよねぇ、僕的に」
「・・・」
「あはは、気に障ったらごめんね。ねぇ、部屋ってどこだか枢から聞いた?」
.