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□この悲鳴は、きっと
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*警察関係者な純血種の枢さん




きゃーー!


身が引き裂けるような、痛く、甲高い悲鳴があがった。悲鳴はこだまし、いつまでも僕をむしばもうとする。僕は思わず耳をふさぎたくなった。



この悲鳴は、きっと



現場にかけつけると案の定、血独特の臭いが立ち込めていて、少し眉をしかめた。辺り一面、血だらけ。なぜ最初にかけつけてしまったのだろう。


ターン、ターン、ターン…


背後から複数の足音がする。この街道はなぜだか音がよく響き、どこまでもエコーしている、そんな錯覚すら覚える。建物が高いからだろうか。足音が重なっていつまでも鳴り続ける。


「枢!」

「ああ…」


かけつけた一条は僕を一目見ると、きっともう慣れてしまったのだろう、部下たちに手際よく指示をし、淡々と作業をすすめ始めた。


「これでもう7人目だっけ」


壁にもたれかかっていた僕に、一条はふと思い出したように言った。


「また、1つだったね」


発見される被害者は必ず死因は出血多量。被害者はこの街にすむ若い女性に限定されていて、死体の首には何かにえぐられたような深い穴が1つのこった状態で発見される。



足元に転がる女性が丁重にスーツに入れられている。


彼女は、君は、痛かっただろうか。


白にぽっかり開いた黒い穴。なぜか君には牙が1つしかはえなかった。



『きっとあなたを一生呪うわ』



頭から離れない。君の言葉。口元からのぞく牙。最後まで僕に刃向かおうとした。人間なのに。いや、人間だった頃から。あの時の君の瞳は、僕を恨んでいると物語っているものだったけど、そんな君にさえ僕はぞくぞくとした。



僕は君を愛してる。君に牙をたてたのは、愛してるからなんだ。



『あなたの血なんていらない』

『死んでもいいの?』

『私は死なないわ』



僕の元から去った君。後は追わなかった。だって、君はこの通り生きているんだ。こうやって連続殺人鬼となって。

血に飢えたただの化け物になってしまった君は、きっと今宵も口を赤に染めて、泣くのだろう。




僕の頭の中で、彼女の叫び声が鳴り止むことはない。



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