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□僕らは共鳴する
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「母さま、寝れないの」
「あらあら、困ったさんね」
頭をふわりと撫でてくれる母さま。優しそうな瞳。綺麗な青い色。
「声がするの」
「誰の声?」
「分からないの」
誰なのだろう。頭の中で響く、私とよく似た顔したあの男の子の声は。どこかで聞き覚えがある、懐かしいような声。でも、まるでいけないものを思い出すようで、思い出すのが少し恐い。
「さぁ、おやすみなさいな」
「母さま、お願い。今日だけずっと私の部屋にいて」
「はいはい」
母さまの瞳は青。それと違って私の瞳は暗い赤っぽい黒。自分でも気味が悪い色。
母さまの青は素敵。今日は青い海の夢を見よう。
ガチャン
あ、母さまが部屋から出て行った。嘘つき。
「海の夢なんて、結局見れないんだわ」
私の夢に青はない。いつも赤い。
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