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□今年も私の
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それにしてもなんて暖いのかしら。春でもこんなに心地いい暖さを体感できるものかしら、ほんとに体がぽかぽかして幸せな気分。外の寒さなんて嘘のよう
あぁよかった、さっき廊下にいた時凍りかけた器官がじわじわ解けはじめてるわ。
「やっぱり秋の次は春が来るべきだわ」
「それも恒例文句だね、でも」
「でも僕は冬が好きだよこの寒さもハゲてしまった木も含めて冬が好きだよ、でしょ?」
「くす、ご名答」
やっぱり変わった人。冬が好きだなんて
私の嫌いな冬
なんていったって寒いんですもの
「今年は例年以上に寒くなってほしいと、僕はつい願ってしまうよ」
「あら、そんな心配しなくても私は…」
言い掛けて、やめました
きっとこの人は分かってるから
彼の優しい微笑みをみたらなんだかそう思わずにはいられなくて
冬。それは私の体のありとあらゆる器官を凍らせようとするのです。気付いたら指先が動かなくなってしまうのです
それはあまりにも私にとって恐ろしいことなので、だから私は今年もこの人の優しさに甘え、ここへきて寒さを忘れて冬を過ごすのです
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