*
□罠にかかったのは
2ページ/2ページ
彼女が去ってしばらくこの落ちた薄紅の薔薇と、あたりの薔薇の香り
そしてあの瞳に、浸っていた
この残りの薔薇、どうするんだろう
頭に残る
彼女の瞳、
まるで残像のように
地面に散らばった薄紅を手ですくい、香りを吟味して
何かが
何かが頭にひっかかった
頭から離れない残像のあの瞳の眼差しはまるで
この薔薇からきているような錯覚に
ふと、襲われたもんだから
辺りを見回してみた
ただ彼女が育ててきた薔薇が咲き乱れてる、だけだけど
この香りとともに
眼差しが
鮮明に思い出されて
残像ではなくまるで
「もしかして...」
手にした薄紅を見つめてみて
彼女の薔薇園とでも言えるような、この辺りに咲き乱れた薔薇が
今はっきりと俺に
何かを告げた
何とゆうことだ
まさか、
まさか
辺りの薔薇がその高貴な香りと、あの視線を投げ掛ける
瞳は獲物を捕らえて、離さない
「俺の、ほう...?」
.