彩雲国物語『拍手・記念』
□拍手 龍蓮
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ガンガンと痛む頭を抱えて、澪璃は心底このまま気を失いたいと思った。
段々と近づいて来る。
そう思っただけで、そして其を認識してしまった時点で、澪璃の負けなのだと分かっている。
分かっているのだが、どうしても現実逃避したくてしょうがなくなるのだ。
ガタリ
それでも、なけなしの気力をはたいて澪璃は立ち上がり、はた迷惑な笛の音の主を出迎えるのだった。
「龍蓮!訪ねるなら普通に訪ねてよ!」
「何を言う、これこそ正に風流を体言した最高の訪ね方ではないか」
「たんなるはた迷惑よっ!」
(普通に来てくれたなら、もっと優しく迎える事が出来るのに。)