さよなら僕らと、それと君に

□シーツで仲直り
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「あー!何すんの!」

「没収です!」

「返せー!!」


僕が逃げると、それをアイが追い掛けて来る。
平八郎に、お逃げ、と目で合図をすると、彼は片足を上げて了解のポーズをとり反対方向に走って行った。

体力的には僕が断然勝っているだろうが、いかんせんこのお屋敷は広大だ。何時何処でアイの得意ルート(あるのかどうかは知らないが)に入るか分からない。
右に左にと逃げ回っていると、案の定アイが左に曲がった。何十秒後かに出て来た彼女は、さっきよりも格段に僕に近付いている。

だけどこれまでだ。
この廊下を真っ直ぐ行けば、僕の部屋。そこに飛び込んで鍵さえかけてしまえば、アイだって入っては来れまい。


「かーえーせー!」

「これは僕が丁重に弔って差し上げますから、貴女はシーツの幸福を祈りつつさっさとユリィ……」

「平八郎!」

「の散歩に行って来て下さい!昼ご飯抜きますよ!」


そんなことを叫びながら扉を閉めて鍵をかけた。
アイは扉をどんどんと叩いて何事か言っている。
無視だ無視。
それよりも優先事項はこの可哀相なシーツ。
こんな姿になってはいても、一応ご主人様の持ち物。
無下に捨てるわけにもいかないし、かと言って縫ってシーツに戻せるレベルではない。全く、彼女はいつも僕の計画に穴を開ける。
……そんなに嫌ではないけれど。


「仕方ないですね」


若干指にハバネロの薫りが付くのは、覚悟しなければならないだろうことが簡単に予想出来た。
上手く染みが抜けるかどうかを気にしつつ、思い切りシーツを広げた。



シーツで仲直り

(赤が残ってしまったので、少し手を加えてミニテーブルクロスにしてみました)
(わーすごい!早速平八郎に)
(だからテーブルクロスだって言ってるでしょう!)



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平八郎が何気に活躍したと思いたい。


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