Three People Travel
□第五話
1ページ/3ページ
アズ達がローレスト王国を出発して数刻。
もう昼だというのに、辺りは薄暗かった。
というのも、ローレスト王国と隣国のチャート王国へ行くには、森の中を通っていくしかないからだ。
ローレスト王国は完全自給自足の国だったので、もちろん、隣国へ行く道など整備されていない。
そんな森の中を行くアズ達は、予定より時間をとってしまっていた。
「なんで、お昼なのに暗いんだよ〜。」
この日、何度目か分からない泣き言をアズが言っている。
「森の中だからだろ。」
何の気休めにもならない言葉を淡々とヴァルナが返す。
「今日、歩ききればチャート王国へつけるはずですから、それまで辛抱しましょう。」
苦笑いをしながら、シンがアズを励ます。
そんな事を、ずっと繰り返していた。
「でも、さすがにお腹が空いてきたよ。休憩と食事にしようよ。」
「そうですね。食べないと力も出ませんからね。」
「じゃあ、食事にするか。」
ヴァルがそう言って、持っていた荷物の中から、あまり美味しそうではないが、長持ちする、携帯食料をとりだした。
それを見た、シンが申し訳なさそうな顔になった。
「すみません。こんなものしかなくて…」
そう言われてアズは少し怒ったような表情をしていた。
「これからもっと大変な事がいっぱいあるのに、こんな事で謝らないでよ。これは、命令だよ。」
「御意。」
アズはフゥーと息を吐いて、シンを見た。
(シンの過保護はなかなか直らないよな。)
「とにかく、食べよう。」
そう言って、近くにある石に3人とも座って食べ始めた。
.