お題
□笑顔の似合う恋だった
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目を開けて謙也さんの困り顔を拝むか、目を閉じたまま謙也さんの声を聞いているかで迷っていると、突然オレの隣に寝転ぶ気配がした。
「光だけ寝るなんてずるいからオレも寝ようっと!」
なんと謙也さんはオレの隣で寝ようとしていた。
というかものの数秒しかたってないのにもう寝息をたてている。
・・・・あんたはのび太くんか!
と言いたいのを堪えオレは謙也さんを起こさないようにゆっくりと起き上がる。
謙也さんを見てみるとすごく安心したような顔で寝ていた。
オレがいるから安心して寝ているのかなと錯覚してしまうくらい緩みきった顔。
オレは無意識に謙也さんに手をのばしていた。しかし謙也さんの言葉は残酷だった。
「ん・・・白石・・・」
寝言だということは分かっている。
しかし寝言だったからこそ思い知った。
謙也さんが好きなのは部長なのだということに。
のばしかけていた手を思わずひっこめる。
それはオレなんかが触っちゃいけない存在のような気がしたから。