お題
□笑顔の似合う恋だった
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そう、その人の笑顔はいつだってオレに幸せを運んできてくれた。
笑顔の似合う恋だった
オレは6時間目をサボって堂々と木の陰で目をつむっていた。
音楽を聞くのもいいがたまには風の音を聞くのもいいな、とかキザなことを思いながら。
すると聞こえた誰かの足音。オレはこの空間を他人に壊されるのが嫌だったので寝たフリをしてそいつがどこかに行くのを待つ。
しかしそいつは恐らくオレの前に仁王立ちで立った。(目をつむっているのであくまで恐らくだが)
そしてあろうことかオレの名前を大声で叫んだ。
「光ー?光ー!!起きろー!部活前に寝んなーー!白石に殺されてまうよー?」
あぁ、この声はアホの謙也さんや。
オレは謙也さんのことが好きだ。でもこの恋が叶うことはない。
なぜなら謙也さんは白石部長と付き合ってるから。
そこにオレが入り込む隙なんて微塵もない。
しかし今だけは謙也さんを独占してもいいかなという気分だった。
謙也さんの声で部活がもうすぐ始まるのだと言うことは分かった。行かなきゃ白石部長に殺されるということも。
しかしオレはまだ寝たフリを続けた。
きっと謙也さんのことだからオレは本気で寝てるとか思ってるだろう。そしてオレのことを無理に起こせず困るに違いない。
そして案の定その予想は的中した。
「光・・・本気で寝とるんか・・・起こすのかわいそうやな。どないしよう・・・」
多分相当困った顔をしているであろう謙也さんの顔が見たくて思わず目を開けそうになる。
しかし、ここは堪えろオレ。
もうちょっとだけ謙也さんを困らせたれ。