立海

□哀れな詐欺師の哀しき末路
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「ブンちゃーん。」

「んー?」

「ブンちゃんなんか嫌い。」

「・・・ふーん。」

「嘘。」


また君はそうやって泣くのを堪えて平静を装う。

そんな君の顔が見たいなんて悪趣味かもしれない。

でも決してブンちゃんが嫌いなわけじゃない。
むしろ大好きだ。

ただ俺の言葉は全て嘘。

いつのまにか本当が言えなくなった哀れな俺の愛情の裏返し。

どんなにいびつって言われようとも構わない。



これが俺達の"愛"なのだから。






授業中

珍しくサボらず授業に参加したのはいいが、やはり大変退屈だった。

ひまじゃな〜なんて独りごちで呟くと、それをきっかけにして隣の席の女子が話かけてきた。


「ねぇ、仁王く〜ん。」

「なんじゃ。」

「仁王くんってさ〜彼女とかっているの〜?」


前の席に座っているブンちゃんが一瞬びくっとなった。
これは確実に俺達の会話を聞いている。


少し、遊びたくなった。



「あぁ、おるよ。」

「え〜そうなの〜?」

ショックとか言ってる女のことはぶっちゃけどうでもいい。
お前がなんと思おうと知ったことか。

俺が反応を見たいのはブンちゃんだけじゃ。

見るとブンちゃんは普通に授業を受けている。
だが内心は自分のことを言われてると思って喜んでいるに違いない。

俺はブンちゃんの痛みに堪えるような顔が見たくて、また嘘をついた。


「胸のでかい女でな。ちなみに他校じゃ。茶色くて長い髪がきれ・・・」


ガタンッ


ブンちゃんがいきなり立ち上がった。

「ちょっと・・保健室行ってきます。」

当然のごとく俺も付き添いで行こうと席を立った。


「じゃ、俺も付き添いで行こうかの。」

俺がブンちゃんの肩に手を置いた時だった。


バシンッ


「ブン、ちゃん・・・・?」

「いい。一人で、行ける。」
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