拍手をくださりありがとうございます(^-^)
ちたないものですが下記にお礼小話を上げております。
ただ今の小話は『ニャンだ』という神田が猫&幼児化していますので苦手な方はお止め下さいね。
元気の元を本当にありがとうございました!
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「えっと…これは一体…」
任務報告のため疲れた身体を引きずってやってきた室長室で僕は思わず固まってしまった。
だって目の前には…
−ニャンダ(成長期編)−
遡ること数分前。
任務から帰ってきた僕を待っていたのは「すぐに室長室に来て欲しい」という言葉だった。
帰って早々次の任務か…と溜息。
任務先で書き終えた報告書片手に階段を上り室長室へと向かった。
ノックをすると、間延びした返事が返って来てそのまま中に入る。
「お帰りアレン君」
椅子に座りコーヒーが並々入ったコップを手にコムイは、待ってたよと続けた。
「ただいま、コムイさん。…ところですぐ来て欲しいというのは任務ですか?」
「まぁ任務と言ったら任務なんだけど…」
報告書を渡し聞くと、その用紙をパラパラ眺めながらコムイは言いにくそうに笑い、ふと後ろにあるソファを指差した。
「?」
その先を追いかければ…。
「え?!」
そこには、ソファで眠る小さな塊。長い黒髪や表情は見覚えのあるもので。だけど。
「まさか…神田、ですか??」
目の前であどけなく眠っているのは五歳くらいの少年。長い黒髪の間から覗くのは黒い毛並みの少し大きな耳に、尻には音に反応しぴくん、と震えるこちらも黒い尻尾。
所謂、猫化(+幼児化)。
「コムイさ〜〜〜ん!?」
思わず出た唸るような低い声。
「しー!アレン君!神田君さっき寝たとこだから!」
コムイは慌てて人差し指を口にあてて、静かに!ポーズを作る。
さっき寝たとこなんて知るか?!また変な薬を試したな?!
ギンッとした視線を受け、コムイは慌てたように手を振った。
「僕がしたわけじゃないよー!!神田君が勝手に倉庫の棚を触っちゃったみたいなんだ」
「結局薬を作ったんだから元凶は貴方でしょうがー!」
何が”勝手に”だ。責任転嫁もいい加減にしていただきたい。
「前の時も思いましたけどいい加減あのガラクタ達処分してください!」
「な?!化学の結晶をガラクタよばわり?!ひどい!」
(面倒くさ…)
まぁ!と大袈裟に泣くふりをするコムイにアレンはがっくりと肩を落とした。
「にゃあ」
「!?」
「あ、起きちゃった」
鳴き声に振り向けば体を起こした神田(五歳程)が眠そうに目を擦っていた。周りの音で目を覚ましてしまったのだろう。
というか…
「あの、コムイさん?聞き間違いですかね?にゃあって…」
「あ、神田君が被った薬は幼児化&猫化、しかも知能も猫並になってしまうという薬なんだよ」
「ほんとに今度全て処分してやります」
いいでしょ♪と嬉しそうに言ったコムイにアレンは低い温度を纏った笑顔を浮かべた。
「おぉ…、と、ところでアレン君を呼んだのはこの神田君の面倒を見て欲しいんだ」
「は?」
「まぁ数日できっと戻るはずだしいいよね!」
恋人だし☆と楽しそうに笑いコムイは神田をひょいと抱き上げアレンに手渡すとじゃあ!とそそくさと逃げた。
「あ!ちょ?!コムイさーーーん!!」
閉められた扉に手を半端に伸ばした姿勢のままでいると、くいっと服の裾を引っ張られた。
子供になった為か若干大きく感じる瞳にふにっとした頬っぺた。さらにぴくぴくと動く耳に揺れる尻尾。
(…可愛いぃっ!)
思わず頬が緩んでしまう。
知能も猫並にということだから今の現状もわかってはいないだろう。
「どうしたの?」
頭を撫でてやると、気持ちいいのか喉を鳴らしてさらに擦り寄ってきた。
普段の神田では絶対有り得ない行動にアレンの頬は揺るみっぱなしだ。
「コムイー報告しょ…てアレン?どうしたんさ?」
扉を開けてきたのはラビ。目をしばたかせ近付き、アレンが撫でてるものへと視線を向けた。
「なっ!なにさこれーっ?!まさかユウっ?」
「!」
突然の大声に驚き神田はさっとアレンの後ろに隠れる。
「ちょっとラビ!びっくりさせないで下さい」
「わりぃわりぃ。それにしてもどうしたんさ?それ」
神田を指差し問うラビにアレンはことの次第を話した。
「ユウも災難さー」
ラビは口ではそういいつつ楽しそうだ。
自分に降りかからなければそれは楽しいだろう。しかも今回の犠牲者は神田だ。ラビとしては面白くて仕方ないに違いない。
アレンは溜息をついた。
「楽しまないでくださいよ」
ラビがしゃがんで神田においでおいでをするが神田はアレンのズボンの裾を掴んだままひょこっと覗きそれ以上近づこうとしない。
「嫌われた?」
「さぁ?」
なんせこんな神田は初めてだ。なにはともあれ…。
一段落ついたとこでお腹が空腹を訴えた。
そういえば任務から帰ってからご飯まだだった。意識したら空腹感がさらにましてくる。
「ご飯食べに行ってきます」
「あ、ちょアレン!」
神田をひょいと抱え上げ何か言いそうなラビをほっぽって扉を開けた。
「そんな姿のユウを連れていくんさ…っていないし…。あ、でも周りの反応気になるさ!アレン待ってさ〜」
ラビは慌てて二人の後を追った。