宝物
□強まる想い
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「神田…かんだぁ…ここ屋外なんですよ?とりあえず寝るなら宿に戻ってから」
「ヤダ…。」
そう言って神田が身じろぐ。
首筋に触れる綺麗な黒髪が擽ったくて仕方がない。
がっつりと神田に捕まえられてしまってるので動こうにも動けなくて、僕はそのまま空を仰いで大きく息を吐いた。
しばらくぼうっと空を眺めていると、規則正しい寝息が聞こえてきた。
「神田…。」
揺り起こそうとしても彼が目を覚ます気配はない。
いつも鋭い光を宿すその瞳はしっかり閉じられて。
その姿は長年厳しい戦場を駆け抜けてきたエクソシストではなく、まるで幼い子どものようで。
…余程疲れていたんだろう。
「もう…しょうがない人ですね…」
普段絶対弱さを見せないキミ。
こんなふうに甘えてくることなんてとても意外で。
でもそんなキミを独り占めできることが嬉しくて。
こんなに可愛い神田(なんて言ったら怒るんだろうなぁ)、誰にも渡したくない。
「…アレン……」
長い漆黒の髪を指に絡めながらその綺麗な寝顔に見惚れていると、夢の中でキミが起きてるときは絶対呼ばない僕の名前を呼ぶ。
「…本当に、素直じゃないんですから…」
自然と笑みがこぼれて、彼を抱き締めた。
「大好きですよ、神田…。」