『close』
□第四話 『腕前』
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「...さぼる」
影光をめざすと宣言して初めての入学試験日、つるはめんどくさそうにつぶやいた。
「ちょっお前影光様になると宣言したばかりじゃないか!!」
まるでやる気のないつるとは対照的に、リズはいつもしている紫色のはちまきをキツくして、気合いを入れている。
「だって次、武術だろ?俺はできるからいいけど、リズできんのか?」
つるは今の3代目が就任したころから、3代目直々の恐ろしい修業を続けてきたため、普通の影人以上の武術は習得していた。
武術には多少自信がある。
しかしリズは大きくのびをして、満面の笑みでつるの方を向いて言った。
「つる、言っておくが、武術なら私のほうが上だぞ」
はちまきが光る。
「.........あ。」
つるは、やっと思い出したのだった。
リズの家、桜家が極めているものを。
「....怪力融合武術...だったか?」
「ああ。これにかなう武術は存在しない」
紫色のはちまきが目印の桜家は、確かに最強武術の家柄だった。
空の国を支える力として、誰でも知っていることだった。
「...なら、別に受けなくてもいいだろ?」
「ばーか、そんなんじゃダメなんだ。私には目標があるんだから。」
リズはサラサラの金髪をかきあげた。
「目標...?」
「ああ。私の目標は、」
この学園を、
史上最年少で卒業して、
最強の影人になること。
それはなぜか、
つるの心に響いた。
心が、動いた。
「...それ、俺も挑戦しよっかな。」
「本当か?ならライバルだな。」
リズはうれしそうに笑った。
「じゃ、行くか。」
2人は立ち上がった。