『close』

□第七話 『緊急特訓』
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「そもそも『紅』とは、この世界の重要人物を暗殺し、それぞれの国をすべてまとめて1つにしようとする集団じゃ。」

3代目はつるの横によっこらしょと腰をおろして語り始めた。

「...重要人物?」

つるも足をくずして3代目の方を向く。

「うむ。重要人物というのは、国をまとめるものを指すかの。たとえば......陰光もその1人じゃ。」

その言葉につるは3代目の方を見る。この、自分を親の様に育ててくれた人物もまた、両親の命を奪った奴らに狙われているというのか.....。

つるは拳を握りしめた。

「...怖くないのかよ。じじいは。」


つるは動揺で肩が震えていた。


その様子を見た3代目は少し動きを止めたが、急に笑顔になり、寝っ転がった。


「バカもん!!つるよ、わしにはこんなにも多くの仲間がおるではないか!こんな仲間に信頼されているこの陰光、そう簡単に死ぬわけにはいくまい!」


3代目はさもおかしそうにがはがは笑った。

つるは驚いていた。


仲間というのはそんなにも人を強くするのだろうか。


となりに寝転がる中年のじじいを、仲間というのはここまで支え、大きな人間にしている。



「...仲間...」

つるは自分の中に入り、もう一部となったあの2人の事を思い浮かべた。なくては何かが足りなくなるもの、それが仲間。

「つる、お前も解ったのだろう?仲間というものが。」



3代目はつるのあたまに大きな手を置いた。

「...お前は、仲間ができる前よりずっと強くなれたはずじゃ。力はまだまだまだだが、心の方は仲間を守ろうと必死であろう?だから、その心を大切にするんじゃ、つる。」

3代目は立ち上がった。

「今日の特訓は、その気持ちを守り抜くためのものだと思え。決して倒れるな。倒れたらお前の気持ちもそんなものだと考えろ。」



つるもいっしょに立ち上がった。

「俺は絶対に倒れたりしねえよ。それは約束する。」


「うむ。なら門を降りるぞ。下にもう結構前からおるからの。」

え?と振り返ると、3代目は手だけあげて歩き出した。

「おまえ、良い仲間をもったの。」











「当たり前だろ、くそじじい。」






つるは一回鼻をかいて、門の下で寒そうに白い息を吐く2人の前に飛び降りた。





「....おまたせ。」




さあ、
特訓開始。




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