□手が震えていた
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今日は、とても快晴で雲一つ無く、綺麗な綺麗な
見入ってしまう程の青空だった





そんな中、上田城では、ガシャガシャと鎧の音を
立てながら走り回る兵や武器を運ぶ女中などが、
綺麗な青空にも気付かない程、城の中を走っていた


「旦那ぁー」


兵達と擦れ違いながら俺様は旦那を城中を
探しているけど戦に関わる場には、居なくて
もしや…。と何時も二人で座っている縁側へと脚を運んでみた



「旦那、まだ此処に居たの」


旦那の茶毛が風にふわふわ、と揺られいて、
俺様は、近付いて旦那の頭を優しく撫でてあげた


「…佐助、今日は綺麗な蒼空でござるなぁ」


「うん、本当だね〜」



旦那が俺様の膝に頭を乗っけてきて、俺様の顔を
下から見上げて、嬉しいそうに笑っていた



「…旦那、大将に怒られるよ?」

「後少しだけだ、それに甘い物が食べたい」



俺様は、少し笑って旦那の頭を撫でると旦那は
ゆっくりと上半身を上げて俺様を見て来た



「甘い物ねぇ…ー、俺様特製甘〜い接吻何てどう?」


旦那の顎を片手でそっと抑えて、旦那に顔を
近付けるとカァーッ、と真っ赤に染まっていた



「さ、佐助」


「本当は欲しいんでしょー」


そう言うと、旦那は本当に小さく傾き俺様は
そのまま、旦那に口付けながら床に押し倒した



「んっ…」



旦那が小さく口を開ければ、俺様はすぐさま
舌を入れて旦那の熱い口内を荒らした



「あぅっ…んぅ」



涙目になりながら、顔を逃げるように動かすのは
何時も事、本当に照れ屋なんだからさ
まっ、其処が可愛いんだけどね。まだしたいけど
これ以上接吻してると、旦那も腰砕けちゃうし大将に怒られるからね



「ぷひゃっ」

「甘かった?」



口を離せば口端から、涎を垂らして頬に赤みの
差した、色気プンプンの旦那が激しく息をしていた



「やべっ…(危ない危ない、今から戦、戦)」



旦那を抱き上げて、そのまま大将の所へ
行こうとしたけど、格好が恥ずかしいと言われて
途中で、旦那を下ろしてあげた



「さ、佐助のば、馬鹿者…」


真っ赤になりながら、旦那は城先で仁王立ちしていた大将に駆け寄った



「お館様!」

「うぬ、皆出陣じゃ!目指すは大阪城!心して行けい!」


「「「オォオ!!」」」



雄叫びを上げる旦那と大将の影で護衛しながら
大阪城に着き、異様な雰囲気に包まれていて辺りを見回した




「皆、生きて帰ってまた共に戦場で手柄を上げようぞ!」



旦那が、バッと腕を挙げると皆が力強く
頷いたのを俺様は遠くの木から見てるしか出来なかった


(旦那、張り切ってんな。俺様もまっ、頑張ってこー…)


旦那のウズウズとして口を緩ませて、張り切り
過ぎな姿を見て、微笑んでしまった


(本当に、元気何だから…)


今まで知らなかった感情が旦那に会えば会う程
触れ合えば触れ合う程、新しくこの体に刻まれる

何時しか、不思議と旦那に恋してた。

あの、人を信じて疑わない真っ直ぐとした目に
心の中を温かく包み込んでくれるような旦那自身

惹かれない訳が無かったんだ










そんな事を思い戦っていると、何処からか
予想していない所からも豊臣軍が攻め込み
段々と、俺様達は追い込まれていた


その時大将は、撤退を命じて俺様に、
旦那を安全な所へ連れて行ってくれ、と頼まれて駄々をこねる旦那を引っ張っていた



「お館様ァア!佐助!武士が逃げるのか!」


「俺様は武士じゃ無く忍者だから」



愚痴を零す旦那と走りながら逃げてると、
ザザザッと辺りを敵で囲まれた


「佐助!行くぞっ!」

「旦那、気を付けてね!」



二人で進みながら、敵を切り捨てて段々と敵も
少なくなって来て、俺様はチラリと旦那を見た



「佐助!よそ見などっ!」


ハッと我に帰って、後ろを振り返って見ると
ブシャッ、と俺様の前の黒い忍びが倒れた


「最後だから良かったものを!何をよそ見しておるのだ!佐助!」


「ごめん…」



謝る俺様に旦那がギュッと抱き締めてきて
プルプル、と小さく泣きながら震えていた



「速く逃げようか…ね?」

「うぬ」


大将が身代わりとなり、授けてくれたこの命
旦那の為、自分の為に使いたい


「佐助が居なくなったら、某は何をすればっ…」

「ごめん、約束だったね旦那とずっと一緒だから」


泣きながら笑う旦那を見詰め俺様も微笑み返し
チラッと自分の手を見て苦笑いしていた


手が震えていた
(もし旦那が居なくなったら)(俺様は、生きる希望が無いね)(だから)(何もかも一緒に)

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