□そうだよ、嫉妬だよ?
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「旦那…旦那」



血で廊下はヌメリ、叫び声をあげなくなった
肉の塊…もとい人間だ


襖にも、血が飛び散っていて城の壁には、
刀の斬り後が痛々しく残っていた




「な、に……これ」


何でこんな事になっているんだろう
分からなくて、分からなくて
手に力を込めて旦那の部屋に走った




敵が居るか分からないが見付からない様に
走り、旦那の部屋の天井に行った


天井の穴を覗けば、愛しい主が確認出来るだろう
下を見下ろして見ると、旦那が横たわっていた



「旦那…っ!!」



急いで下に降りて旦那の、体を触っていた。外傷は不思議と無い



「わ…ゃだ」


寝ながら暴れ出した旦那を必死でなだめた
抱き締めて居る時に自分の頭に激痛が走った



「ぃたっ……?」


コツン、と軽く血だらけのクナイが
自分の額に当たり佐助は目を見開いた



「こ……れ、」



クナイには、大将の被り物の毛が付いていた

その時、体が熱くなり妙に旦那が可愛く見えた



「旦那」


バッ、と旦那が起き上がり素早く近くに有った
槍を震えながらも俺様に向けて泣いていた


「何の冗談な、の?」



旦那に触ろうとしたら、目の前を
刃が掠り頬から血が流れ出てきた



「く、るなぁ!!佐助ぇ!!お主はっお主は!!」


涙をボロボロ流して、俺様に斬り掛かって来たのを、
何故か避けれなくて只傍観者の様に眺めていた


ザクッと音を立てて旦那の赤い槍が
もっと綺麗に赤色に染まった



「ぐっ……ぁ」



痛みで、自分がやってしまった事を思い出して頭が痛かった



其れよりも、旦那が目の前で自分を抱き締めて叫んで泣いていた

ごめんね、って言いたいけど喉が痛くて声が出ない



「佐助っ…ざずけぇ!!某独りでっ何を!!
お館様をっ!!皆を!!」


「ごめ、んっね」


手を旦那に向けると、一瞬体を震わせたが
涙を溜めた顔で俺様の手を握り締めていた




「さ、佐助、どうすれば?某は独りで」



今更、気付いて後悔した
旦那からは、誰も取っちゃいけないと
あの関係が一番だったと


そうだよ、嫉妬だよ?
(ごめんね)(弱くて)(旦那も)(こっちに来る時は)(直ぐだけど)(嫉妬はしないよ)

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