□瞳孔開いてます…
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「……暇だ」

愚痴を零しながら、ちょっとずつ書物に筆を滑らす政宗


「後は、全て書の此処に印を」



小十郎は新しい書物を置いて、終わった書物を持ち上げ部屋から出て行った



「……暇だ」



小十郎が居なくなると、机に膝を付いて目を瞑る




「手が止まってますよ、政宗様」

「萩C配を消すなよ!!!」


膝を付いていた政宗は後ろを振り返った
小十郎はチラッと政宗の部屋から外を見た



「後、もうすぐ」



「Ah〜、もうやらねーから」



ゴロっと寝そべって耳を塞ぐ政宗に小十郎は溜め息を付いた



「人の話は最後まで聞くのが礼儀ですぞ」



「…はぃはぃ、んで?」



「それで、甲斐から真田様が来ると忍が」

「HA!?早くそれを言え!!!」



凄い勢い良く立ち上がり部屋から出て行った
政宗に小十郎は溜め息を漏らした



「…はぁ、仕方のないお方だ」



小十郎は持ってきた書物を政宗の机に置くと、直ぐに後を追って部屋を出た











「幸村、幸村」


ルンルン気分で、城の中を走りながら 門へと向かった




「政宗殿ぉおぉ」


あの声はっ、と政宗が門に
走り出すと怒鳴り声が響いた



「旦那っ!!人様の城で大声は駄目でしょ!!」


「す、すまぬ」



幸村にビシバシ、と怒る佐助に
政宗は笑いながら近付いた


「HaHa!んなに、怒るなよ!!」


からかってやろう、と軽い気持ちで
近付いたがそれが間違えだった


「そんな、big voice出しただけでな」


政宗は幸村を見ると、ガタガタ、と震える幸村が
政宗を見て首をブンブン、横に振っていた



「何、竜の旦那」


振り向いた佐助に、政宗は
全身鳥肌と寒気が襲った



「あ…ぃや、その」



ニコニコ顔なのに、後ろに浮かぶ般若が
歯をむき出して黄色い黄ばんだ目で睨まれる


「ねぇ、何で旦那がこうなったか…知ってる?」


カタカタ、と不気味に笑った佐助が
近付いて来て政宗は固まる


「stop、cool down!!」


「あは、そんな南蛮人語解らないから」


佐助が政宗に、触ろうとした時、
幸村が佐助に抱き付いた


「佐助っ、怒りを収めてくれぇ!!」


キューッと、プルプル震えながら
佐助を抱き締め佐助を見上げた




「「…」」


政宗と佐助には、それが

捨てられそうな子犬が
飼い主(俺)(俺様)に
すがりついて
誘ってる様に見えた




「旦那…しょうがないなぁ、
もういきなり走り出したら駄目だよ?」


「解った!」


佐助は抱き付いた幸村を
優しく撫でて笑ってあげた



「幸村、来いよ」


手を小さく振ると、佐助から
離れて幸村は政宗に走った
それを見てニヤリ、と政宗は笑った



「旦那!!そっち行っちゃ駄目!!」


「幸村!!その猿の方に行くな!!」



二人の丁度真ん中で幸村は止まり
キョロキョロ、していた


「幸村!!come hear!!」

「旦那!!お仕置きするよ!!」


佐助の言葉に政宗は振り返った


「猿!!お仕置きって何してんだよ!!」

「猿!?教える気無いけど〜」


「んだと!?」



ギャァー、ギャァー、と喧嘩する
2人に幸村は、ボケーッとしていた







「…何ですか、この騒ぎ」


呆れてる小十郎が来ると、幸村は
嬉しいそうに走り出した


「小十郎殿ぉ!!」


ピョンッ、と抱き付いてきた幸村を片手で受け止めた



「ん?どうした幸村」

「2人が喧嘩を…」



寂しいそうになる幸村を片手で
抱きかかえたまま小十郎は城に入った


「小十郎殿?」


「遊ぶか」


小十郎が目を細めて笑うと、幸村は嬉しいそうに笑った













門で喧嘩していた2人は
疲れたのか地面に座っていた


「…はぁ、あれ?旦那」

幸村が居ない事に気が付いた2人が キョロキョロ、していると
すると、城から小十郎と幸村が出て来た



小十郎にお姫様抱っこで、2人の前に来ると少し顔を赤くした


「佐助っ、帰るぞ」

「え、旦那良いの?」


コクン、と頷いた幸村に佐助は嫌な予感がした



「…右目の旦那、何かした?」

「小十郎、その意見に俺も同感だ」


その意見に2人は小十郎を睨むが、当の本人は溜め息をついた


「お手を合わしていたら、足腰を強打致しまして
真田様はそれを恥ずかしい、と」


それに横からコクン、とまた小さく頷き 佐助と政宗は笑った


「な〜んだ」

「てっきり…」


笑った2人は顔を見合わせた

瞳孔開いてます…
(幾ら)(小十郎でも)(奴も)(男だ)(違うかも)(しれない)

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