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□太陽に恋した、私は向日葵
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俺の向かい側に座りつつ、昴が教科書を開いた。
「しっかりしろよ、高校入ったばっかりだろ?龍貴」
「余計なお世話だよ、昴だって六年生だろ?来年中学生じゃないか」
「うるさいな〜」
べっ!と舌をだして戯けた。
「まったく、しょうがないな」
少し生意気だが、それでも昴は俺にとって、可愛い弟だった。

「ただいま龍貴、昴」
「おかえり〜光彦!」
「おかえりなさい、父さん」
俺たちの父親、秋山光彦。昔、俺の母親の他に愛人がいて、その愛人が昴の母親だった。
俺の母さんはそれがショックで俺を置いて家を出ていってしまった。
でも、俺は父さんを恨んだりしていない、ここまで育ててくれたから。
「勉強していたのか?」
「うん!龍貴が教えてくれた」
「そうか」
父さんが優しく笑う。
昴が来てから、この家は笑顔が増えた。
「今度は光彦に教えてもらいたいな…」
「そうだな、今度の休みに教えてやろうか」
「ホント?やったぁ!」
父さんも昴の笑顔が好きなのだ。
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