第一書庫
□絶対的恋愛論〜琥珀の中〜(九龍)
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「ただいま、甲太郎」
こいつはいつも突然だったりする。
俺は突然の訪問者によって玄関のドアノブを握ったまま、立ち尽くしている。
そうだ、突然の九龍の出現。
「なに固まってんだよ?甲太郎」
お前のせいだ。
「いきなり目の前にお前がいるから」
「それで固まっていると?」
「そうだ」
やっと動いた手で頭を掻きながら言ってやった。
それでも九龍は「そっか」と言って嬉しそうにしている。
とりあえずこのマヌケ顔の九龍を家に入れることにした。
九龍のことをいろいろ言っているが、俺とこいつは付き合っていたりする。
「いつ帰って来たんだ?」
「さっき、なんか甲太郎のカレーが食べたくなって、真っ直ぐにここに来た」
「目当ては飯か…」
とは言うものの、「真っ直ぐここに来た」と言われて嬉しく感じている。
顔にはださないが。
しかたない、今日もカレーだ。
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