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□黒猫ノ過去、最後ノ夜
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前の僕の飼い主は、この国の人じゃなかった。
遠い異国の、綺麗な人…

「ごめんよ、君を連れていけない…」
どうして?なんで?
「置いていかないで、僕も一緒に行く」
「僕は祖国に帰らなければならないんだよ、君を連れていく余裕がないんだ」
いやいやと僕は首を振ってあの人の服を掴んだ。
不意に優しく抱き締められる。
「大丈夫、友人に君を任せるつもりだ」
「でも…」
「また、会えるよ」
頭を撫でる手が心地よくて、僕は目を閉じた。
「本当に、会える?」
「ああ、約束だ」
あの人は優しく口付けてくれた。

きっとこれが、この子猫を抱く最後の夜。
震える胸の突起に触れる。
「あっ…う、っ」
「可愛いよ」
身体中に口付けを贈り、手は彼自身に絡め、刺激する。
「はぅ、あぁん」
顔を赤くして耐える姿に、僕は興奮させられるのだ。
「気持ちいいかい?」
「うんっ…」
前戯もそこそこに腰を高く上げさせて後ろから挿入する。
「ひぁっ!あぁ、っく」
耳がピクピクと震えて痛みに耐えているようだ、苦しそうに呼吸を繰り返す。
「痛い?」
「あ、ううん、平気…」
ゆっくりと腰を動かす、痛みが快楽に変わるように。
「あっあ、や…はっ」
獣の交尾の様な姿、僕は…この子猫に餓えているのか?
自然と腰の動きも大きく速くなる。
「本当は、僕だって」
「やぁっ…うあ、あっあ、あっ…!」
もう、この子猫には僕の声は聞こえていない。
「君を置いていきたくないっ…!」
ぐっと奥へ押し込めた、深くもっと深く…
「あぁーっ!」
「くっ…!」
白濁を吐き出した子猫を見つめ、僕は達した。
萎えた自身を抜こうとすれば、名残惜しいのかヒクリと壁が絡み付いた。
「愛しているよ」
僕は子猫の髪を撫でて口付けた。
「さようなら…」

「また、会えるかな?」
「約束なんだろう?会えるさ」
あの人もこの人も僕に優しくて、大好きな人。
「行こうか」
「うん」
僕はもう、この人の飼い猫だけど、会える日までずっと待ってるね。
「約束、忘れないよ…」



2007.3.14

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