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□小さな我が儘王子様
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「最近天空(そら)兄、家庭教師してるんだって?」
僕は雨宮天空(あまみやそら)、この子は年下の幼なじみの須藤飛鳥(すどうあすか)。
「そうだけど、なに?」
「天空兄ぃ、俺今年高校受験だよ」
「そうだね、ガンバレ」
「俺が勉強教えてって言っても、忙しいって言って教えてくれなかったのに!!」そう言いながら飛鳥は僕におもいっきりタックルしてきた。
「だから今日は勉強見てやるって言ったろ?」
飛鳥を引き離そうと力を入れると、それより強い力で押さえられた。
「飛鳥!」
僕が怒鳴ると飛鳥は黙ってしまった。
さすがに僕もそれには焦る。
「どうしたんだよ、飛鳥…」
「毎日毎日、勉強ばっかでさ…俺、気が狂いそうだよ」
飛鳥が静かに言い出した、その声はどこか沈んでいる。
「だからさ、今日は天空兄と一緒にいるだけでいいんだ」
「飛鳥…」
「勉強見てもらうために呼んだんじゃないんだよ、本当は…天空兄と一緒にいたくて…」
声が震えている、泣いているのだろうか。
「そうだな、たまには息抜き、しないとな」
僕は飛鳥の焦げ茶色の髪を撫でた、すると飛鳥が顔を上げて笑った。
「ありがとう、天空兄」
普段騒がしい飛鳥が素直にそう言ったことに驚き、僕はまた彼の髪を撫でた。
「天空兄といると、とても落ち着くんだ…」
「そうなの?」
「そうだよ」
そして飛鳥は満面の笑みをくれた。






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