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□太陽に恋した、私は向日葵
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「はじめまして、城戸昴です」
異母兄弟の彼、俺はその彼の兄らしい。
「こちらこそ、はじめまして秋山龍貴です、よろしく」
昴の母親が病気で急死したため、俺の父が引き取ることになった。
どうやら彼の母親は結婚せず、女手ひとつで昴を育てていたらしい。

「龍貴〜、勉強教えて!」今や俺は昴に懐かれている。
最初はうっとうしかったが、俺の後ろをピョコピョコついてくる姿はとても可愛らしかった。
「なぁ、龍貴?」
「わかった、教えてやるよ…」
「ありがとう!」
明るくて太陽のような笑顔、出会った頃の曇った表情は見えない。
パタパタと自分の教科書を取りに行く昴の背中を見つめた。
「よかった」
昴が元気になって。
太陽のように笑う彼には、暗い顔は似合わない。
今はよく笑うようになった、はじめて会ったその日の夜、昴は一人で泣いていた。
慰めの言葉を掛けてやることのできない自分に腹がたった。
あの子はまだ11歳の子供なんだ、寂しいのに、昴になにもしてやれない…
抱き締めてやることも出来なかった。

「た・つ・き!」
はっとして顔を上げれば、目の前に昴がいた。
どうやら考え込んでいたみたいだ。
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