争いなき楽園へ導く天使 ファーストシーズン
□第5話 限界離脱領域
1ページ/11ページ
「やはり、一連の事件はアメリカとタリビアによる画策。そして、この事件にソレスタルビーイングは利用された……」
モニターに映されたタリビア共和国首相とアメリカ大統領の会談を見ながら、マリナは呟いた。
それを、シーリンが否定した。
「ソレスタルビーイングは戦争根絶という意志を貫き、タリビアを攻撃したまでのこと。たとえ世論から背を向けようとも。彼らを利用しようとする考えは改めた方が良いわね」
「シーリン……」
「マリナ様、そろそろ諸国漫遊のお時間です。吉報をお待ちしていますわ」
そう言ってシーリンは、マリナに鞄を渡した。
「できうる限りの努力はします。アザディスタンを救うには、太陽光エネルギーが必要なのだから……」
そう言ってマリナは、シーリンに背を向けて歩き出した。
「一つだけ聞いていいかしら?」
マリナの足が止まる。
「何故、この役目を引き受けたの?」
「決まっています
わたくしにしかできないからよ」
そして、マリナは飛び立った――。