争いなき楽園へ導く天使 ファーストシーズン
□第4話 対外折衝
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夜の街から黒煙と炎が上がる。
アザディスタン王国の第一皇女――マリナ・イスマイールは、王宮の窓からそれを見つめていた。
「ついに都市部にまで、テロの波が押し寄せてきたようね」
側近のシーリン・バフティヤールが声をかけた。
「保守派が手を組む前に、改革を推し進めないとね」
「わかっています
化石燃料に頼ってきたこの国を立て直すためには、太陽光発電システムを所有する国家群に援助してもらうしか、方法はありません」
「ですが、我が国は軌道エレベーターの建設計画に参加せず、エネルギー供給権を保有しておりません。虎の子である石油が輸出規制を受けている今、無償で援助してくれる国が果たしてあるかどうか……」
「それを探すために、議会は王制を復活させてわたくしを担ぎ出したのでしょう?なら、やるべきことは一つです」
シーリンが微笑んだ。
「このまま国内が荒れ続ければ、程なく彼らが現れる
私設武装組織ソレスタルビーイングが……」
「……ソレスタルビーイング……」
マリナは、表情を曇らせた。