ディシディア シャイニング・ファンタジー
□第1章 魔獣の咆哮
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ベウスが、この世界に召喚されてからしばらく──。
神々の戦いは、刻々と熾烈を極めていた。
そんな中、調和の神コスモスは戦士たちを呼び戻した。
【なさねばならないこと】があると──。
「深淵のなぞ、それは女神の贈り物
われらは求め、飛びたった
彷徨いつづける心の水面に、かすかなさざなみを立てて」
次元城の縁に腰かけ、本を朗読するジェネシス。
LOVELESS。
それがこの本の名前。この世界に来てからずっと聞かされているため、今のが第1章であることは皆がもう覚えていることであった。
「ジェネシス、今は本を読んでいる場合じゃないと思うけど……」
「この美しい詩を理解できないとは、相棒も気の毒だな」
ベウスは呆れた様子で言うが、ジェネシスもまた同じように首を振る。そして、ベウスはため息をつく。いつものやり取りだ。
その傍らで、カインがライトニングに声をかけた。
「そういつまでもスネるな、ライトニング」
「誰がスネている?」
ライトニングが、なぜスネているのか。それは、数刻前のこと──。
ベウスは、行動を共にしていたジェネシスと聖域へと戻る途中、ライトニングたちと合流した。
「お前たち、聖域は反対だぞ」
ジェネシスのその言葉に、ライトニングたちの視線はラグナに集中した。
「あれ、おっかしいなあ」
「あんたがな」
ヴァンのその言葉はあまりにも冷たく、さすがの彼にもこたえるものであった。
その後、休息を取ることにし今に至る。
原因となったラグナは、ベウスたちから少し離れた場所でヴァン、ユウナ、ティファと話している。ベウスの側にはライトニングとカイン、そしてジェネシスがいる。
「ラグナの先導がなければ、俺たちはまだ迷ったままだっただろう。案内が半分以上嘘だったとしても、動いたからこそここまで来れたと思えば……」
「わかっている。もうそれ以上はいい」
カインの宥(ナダ)めを、ライトニングはうんざりとした様子で止めた。
「カイン、ベウス」
名を呼ばれ、2人はライトニングに視線を向けた。
「どうしてコスモスは、あらためて私たちを呼んだんだろうな」
「……さあな」