ディシディア シャイニング・ファンタジー
□序章 神々の戦い
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調和と混沌──。
それぞれを司る2人の神は、異世界に生きる者たちを己の戦力として召喚し、壮絶な戦いを繰り広げていた。
ベウスもまた、召喚された戦士として、調和の神コスモスのもとで目覚めたのだった。
目覚めたばかりのベウスは、今もまだ聖域にいた。
先の見えない不安を抱えて──。
(神々の戦いか……いったいどうなってしまうんだろうか)
「不安か?」
その心情を悟ったのか、同じコスモスの戦士である男が声をかけた。
「あなたは……」
「ジェネシスだ」
「ジェネシスさんは、不安じゃないんですか?」
「不安、というよりは、不快という気持ちが大きいな。あいつほどではないが……」
そう言って、ジェネシスは違う方向に目を向けた。そこには、何か言い争っている3人の戦士がいた。
彼らもまたコスモスの戦士であり、ベウスも先ほど顔を合わせたばかりだ。
ジェネシスが「あいつ」と言ったのは、おそらくライトニングのことであろう。
(仲間って言っても、みんな初対面だし、信じられないのは当然なのかもしれない。ただでさえ、目覚める前の記憶がないのに……)
ベウスには、目覚める前の記憶がなかった。そして、それは彼女も同じだった。
そんな状況で、神々の戦いや、コスモスの戦士たちなど、受け入れることは難しいであろう。
「信じられないか?」
「え……?」
「俺や、他の戦士たちが信じられないか?」
「いえ!そういうわけでは……」
慌てて否定するベウスに、ジェネシスは小さく笑って言った。
「別に責めるつもりはない。そう思うのは、むしろ当然だ
俺も、あいつらも、お前と同じように、突然この世界に呼ばれた。そして、他の見知らぬ戦士たちと共に、カオスの戦士と戦えだ。目覚める前の記憶もあいまいだというのに、知らない相手を信じろというのは無理な話だ
だが、元の世界に帰るためには、この戦いを終わらせなければならない」
「戦いを……終わらせる」
それは、つまり──。
「カオスを倒す」
それは、同じくコスモスの勝利を意味する。
「だが、相手は神。1人で勝てる相手ではないはずだ」
「僕たちコスモスの戦士の……みんなの力を合わせる必要がある」
ベウスの言葉に、ジェネシスはうなずいた。そして、肩をすくめて言った。