キスは、きらいじゃない。 照れ臭いけれど、触れ合うその瞬間は、どうしても相手への想いに支配される。 深く繋がることよりも ただその一瞬はささやかな幸せに満ち足りている。 scene 1 ───bedroom... 「セリスーそろそろ起きろよ」 聞き慣れた、どこか甘さを含んだ声が耳元で聞こえた。 それと同時に髪が梳かれる。 「セーリースー」 呼ばれても、起きられないものは起きられない。 頭は覚醒しはじめているが、彼が昨夜、壊れるほどに与えてきた身体の疲労感のせいだ。 ああ見えて、彼は容赦がない。 とりあえずは、近くに感じるぬくもりに擦り寄って、安堵の息を漏らした。 「セリス?」 「…ん。もうすこしだけ…」 触れ合う素肌がなんだか気恥ずかしかったけれど、とても心地よかった。 この部屋のこのベッドの上ではいつもよりほんの少しだけ素直になれる。 それを知っているのか、彼も幸せそうに笑って髪を撫でてくれる。 頬に彼の指先を感じたとたん、唇にやさしい感触がした。 ───next scene
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