オッドアイと元素記号
□オッドアイの受験戦争
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静かな雨音に目を閉じて、暫く心を落ち着かせる。
雨音が聴覚を支配し、心の中に雑念がなくなってきた頃、キャスコは目を開けた。
……さあ、勉強開始だ。
オッドアイの受験戦争
ヤバイ。試験はあと三日後なのに。
時計の針は一秒ずつキャスコの大切な時間を切りとって、奪い取っていく。
現在、七時。
家に帰ってきてからこの時間まで、キャスコはずっと勉強漬けだった。
どうしてこんな問題が解らないんだ、これは二年でやったのに。
焦る気持ちだけが、キャスコの中にあった。
このテストを落としたら、希望の進路にすすめないかもしれない。
極端に頭が悪いわけではないキャスコも、試験前最後に受けたテストを見た教師から「ぎりぎりだ」といわれた。
落ちてしまう可能性がある。
クリプトンは志望校に行った。
結構ハイレベルな、理数系の進学校に行った。
キャスコは、パイロットになるための専門高校に行きたい。
絶対に、受からなければならない。
受からなければ、今まで勉強してきた意味が無い。
そして、人生の道を見失う。